10月生まれ 11月生まれ 健康・医療の豆知識

10月11月生まれは病気になりやすい!占いじゃなくて統計の話

Written by すずき大和

女性の体のリズムは、日照時間の変動によってコントロールされる、という研究があります。季節により、性ホルモンの分泌量が変化しているのです。そして、子供のもって生まれる体質や気質を決めるのは、胎児期のホルモン環境が関与していると考えられています。

一方、1966年、オーストリアのピルツェル博士は、出生時の地球上の磁気の強弱が、神経機能の発達に影響及ぼすことを発見しました。地磁気に大きな影響を与えているのは太陽です。

これらの説を考えると、太陽の角度や位置や日照時間の変化、つまり季節によって人の性格や体質に違いが出てくることになります。

それを一部証明するかのような論文が、2015年6月、アメリカコロンビア大学の研究チームから医療情報学会の機関紙に発表されました。



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秋生まれは病気のリスクが最も高い

ニューヨークの約170万人の患者データ

論文のタイトルは、『誕生月が生涯病気のリスクに影響を与える』です。

1985年から2013年の間に、ニューヨークのプレスビテリアン病院と、コロンビア大学医療センターで診療した約170万人の患者のデータを基に、生まれ月によって、病気のリスクに違いがあるかを徹底検証しています。

調査の対象とした病気は1688種類。検証の結果、55種類の病気について誕生月との間に相関があると確認されました。

病気なりやすい生まれ月は10月11月

  • 生まれた月ごとに、平均に比べて羅漢率が大きく高い病気は“なりやすい病気”
  • 逆に、他の月生まれと比べて患者が極めて少ない病気は“なりにくい病気”

として統計をまとめた結果、季節ごとの傾向が見えてきました。

全体に、春に生まれた人はなりやすい病気の数が少なく、秋から冬にかけての時季に生まれた人は、なりやすい病気の数がもっとも多くなっていました。

特に10月は、15種類の病気で、12か月中最もリスクが大きくなりました。更に、なりにくい病気が最も少ないのも10月でした。そして、それらに次ぐのが11月生まれのデータです。

例をあげてみましょう。

1,10月生まれの人がなりやすい病気

  • 風邪(急性上気道炎)
  • 急性咽頭炎
  • 急性細気管支炎
  • 胃の機能障害
  • 視覚不良
  • 近視
  • 遠視
  • 性的感染症
  • 月経痛

2,11月生まれの人がなりやすい病気

  • ADHD(注意欠陥多動性障害)
  • 急性扁桃炎
  • 非感染性の腸炎
  • 下痢
  • 非炎症性の膣疾患

10月・11月は、相対的に最も病気のリスクが高い生まれ月なのだといえます。

最もリスクが低いのは5月7月

逆に、最も病気リスクが少なく、健康な人が多いのは、5月生まれの人でした。これといった目立つなりやすい病気はなく、患者数のとても多い風邪などは、もっともなりにくいという結果が出ています。

次いで、7月生まれの人のリスクが低く、なりやすい病気はやはりありません。

全体的に、5~8月の夏の季節は、病気のリスクが特に低い傾向が見られました。

心臓病になりやすいのは春生まれ

秋から初冬にかけて生まれた人たちは、全体的なリスクは高いものの、命に係わる心臓関係の病気だけは、他の季節に比べて低い傾向がありました。

心疾患にもっともなりやすかったのは3月生まれの人たちで、4月生まれがここに続いています。春生まれの人は心臓病のリスクが高いようです。

これらはアメリカのデータですが、日本北部とニューヨークの気候の特徴はとても似通っているので、季節と病気リスクの相関関係という視点では、日本人にも十分適応される検証だということです。

生まれ月による病気リスクの差はなぜ生まれる?

アレルゲンの違い

どうして病気のなりやすさに生まれ月が影響してくるのか、原因は完全には解明されていません。冒頭に書いた、太陽の日照時間や地磁気の影響についての論の他、多くの専門家が様々な説をあげていますが、そのメカニズムの詳細は全部立証されてはいません。

春生まれに心疾患リスクが高いのは、日照時間が少ない真冬に胎児期を過ごすと、母体のビタミンDが不足し、伴って鉄分不足になるため、赤ちゃんにいく栄養も少なくなるためだと考えられていますは。が、それもまだ論の段階です。

コロンビア大学医療センターのメアリー・レジーナ・ボーランド博士の話では、新生児の体内に入るアレルゲンの量や種類の違いが、特定の病気の発症率に影響する、という説をあげていました。例として、喘息のリスクが高いのは7~10月生まれの人でしたが、これは、喘息の原因のひとつダニアレルギーを起こすダニの繁殖時季と関係があるそうです。

自然の摂理

世界の研究者の中には、自然の摂理という解釈をしている人もいます。

地球上の多くの動物は、春から夏に繁殖活動を行っています。寒さ厳しく食べ物の少ない冬を過ぎ、気候も良く、食べ物も豊富になる時期に出産するほうが、子供の生存率が高くなるからです。

人間も動物なので、本来ならば、夏に出産するのが一番自然なので、夏生まれの病気リスクが少ないようになっているのではないか、と考える人もいます。

メカニズムについては、まだまだこれから研究されていく部分です。

秋生まれの人たちは、リスクの高さを悲観するのではなく、無茶や不摂生をしないよう、より健康に気を配る生活を心がけて、ぜひ長生きしてください。

まさケロンのひとこと

生まれる時期を調整・・・だなんてそんなことは無理だとして、、自分がどういう病気になりやすいかを把握することができていいよねこれ。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。