政治・経済

日本人はなぜ社会主義が嫌い?○○主義ってそもそも何?

Written by すずき大和

2018年は、マルクス生誕200年だそうです。

カール・マルクスは、19世紀の経済学者です。社会思想家エンゲルスと共に、

『マルクス主義』(科学的社会主義)

という、理想社会思想を発表しました。

しかし、1989年以降、社会主義国家が次々と崩壊し、

「社会主義思想は、悪!」

というイメージが一時期蔓延しました。

が、2008年の世界的経済危機以後、国際社会では、マルクス主義を再評価する動きが起きています。

ただ、日本だけはその流れに乗っていません。最近の統計によると、日本人は世界でダントツの「社会主義大っ嫌い」国民だそうです。



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○○主義って実はよくわかってない?

民主主義の反対は社会主義じゃありません

  • 民主主義=西側先進国=自由社会
  • 社会主義=ロシア・中国・北朝鮮=独裁国家・非自由社会

と、思い込んでいる日本の皆さん、少なくありません。

が、これちょっと違います。

  • 社会主義とは、経済の在り方についての思想
  • 民主主義とは、政治の進め方についての思想

です。観点の異なる分類なので、反対語ではありません。

社会主義の反対語は資本主義

産業革命以後、自由競争によってたくさん儲けた人が裕福になる

『資本主義』

が社会の基盤になりました。

機械や土地などの生産手段は個人で所有でき、それらを持つ資産家は、大きな儲けを得て、生産手段を持たない労働者は雇われて給料をもらいました。

自由競争の市場(市場経済)に任せると、自然と需要と供給のバランスが取れ、価格も適性になり、経済は適切に回ると考えられました。

しかし、資産家は儲けを全部労働者に還元しません。労使の力の差は大きく、貧富の差が拡大していきました。また、不況や労働力不足が起きると、失業や労働条件の悪化などの問題が起きました。

マルクスは、資本主義のマイナス点を解決し、世の中皆が幸せになる経済の仕組みとして、

『社会主義』

を考え出しました。

  • 生産手段は国が所有
  • 何をどれだけ作り、いくらで売るかは国が決める
  • 国民は全員公務員。働きに応じて、給金を支給される

という仕組み(計画経済)により、資本家に富や権力が集中せず、働いた人がきちんと報われる社会にしようとしたのです。

計画経済の失敗

しかし、一生懸命働いて人より成果を上げてもみな平等に一律の給料であるため、労働者の士気が下がり、生産性が上がらなくなりました。

ここで最初に戻りますが、『民主主義』とは

特権階級(王様など)や、力で権力を奪った軍事政権などではなく、

国民によって選ばれた代表者が政治を行う仕組み

のことです。

反対語は、

  • 「絶対王政」
  • 「軍国主義」
  • 「独裁」
  • 「全体主義」

などです。そういう国では、個人の自由は制限され、情報や言論も統制される社会になります。

計画経済を行うと、権力が肥大化し、独裁化する傾向がありました。

独裁は、更に労働者の士気を下げ、やがて国の経済そのものが行き詰まりました。ソ連や東欧諸国は次々崩壊しました。崩壊後に生まれたロシアは資本主義経済に移行し、前より民主化されました。

一方中国は、一党独裁の体制は守りながら、経済だけ市場経済化するという、

「社会主義市場経済」

に方向転換しました。が、もはや社会主義ではありません。

日本人は共産主義嫌い?

共産主義と社会主義

日本では共産主義と社会主義もよく混同されます。

『共産主義』とは、社会主義の発展型で超理想的社会像の思想です。

共産主義国家では、能力のある人は高い生産性を上げ、そうでない人はそれなりに頑張ってもらいます。ただし、働きに応じて給金をもらい自分の好きに使える社会主義と違い、私有財産は持てません。

その代わり、すべての人が平等に、必要な時に必要なだけお金をもらえます。完全に平等な社会では政府は不要です。高い成果を出した人が、生産性の低い人に分け与える形で経済は回ります。

しかし、やはり人は成果に応じた評価を欲する生き物です。自分の能力で築いた富を他人に無条件で分配などしません。共産主義を実現した国はまだありません。

共産党と共産主義

日本では、マルクス主義を支持する人が共産党を作りました。しかし、究極の理想である共産主義を目指そうとした人たちの中に、

「資本主義社会を破壊するために、実力行使もあり」

という革命思想を持つ人々が現れました。戦前戦後、共産党ルーツの過激な勢力による武力闘争事件がいくつか起きました。

現在の共産党は、過激な思想を否定しています。が、当時を知る世代には、未だに「共産主義は危険思想!」という思い込みが残っています。

また最近、反中・嫌韓思想を煽る人たちが、社会主義思想の悪いイメージを強調する情報を、フェイクも含め、若者が見る情報サイトに多量に流しています。

そんな流れが、日本人の共産主義・社会主義アレルギーを助長しています。

マルクス主義の目指したもの

社会主義国の崩壊は、社会主義が悪いのではなく、その実現方法に問題がありました。分配方法の平等概念がズレていたことと、政権の独裁化はダメダメでしたが、

資本家に富や権力が集中せず、働いた人がきちんと報われる社会

を目指した思想は、資本主義経済の歪を補正するためにも、見習うべき点が多いと再評価されているのです。

が、負け組勝ち組が生まれる社会を不公平と思わず「自業自得」と考える人が多い日本で、社会主義が評価される日はまだ遠そうです。

まさケロンのひとこと

ちょっと今の社会はね、、働いた人はきちんと報われてるのかっていったら「?」だもんね。悪いことをしようとする人も出てくるし、社会主義をもう一度みんなでじっくり考えてみようよ。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。