インフルエンザ 健康・医療の豆知識

インフルエンザは予防接種じゃ防げない!?注射は何のため?

Written by すずき大和

日本では、2017年度、2018年度、2年続いてインフルエンザが大流行しています。

厚生労働省の発表によれば、2019年1月末までの時点で、2018年度の患者数は222万人です。これは、1999年にインフルエンザの統計を取り始めてから、最高記録を更新中ということです。

「予防接種を受けたのに、感染してしまった!」

という声も、あちこちで聞きます。

風疹などと違い、予防接種が感染防止に確実には役立たないらしいインフルエンザ・・・

関係各方面から、手洗いうがいの呼びかけが盛んに行われていますが、そんなことで予防できるなら、なぜ高いお金を出して、痛い思いをして予防接種なんかするのでしょう?



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ウイルスと予防接種のしくみ

インフルエンザって何だ?

インフルエンザとは、ウイルスを介して感染していく病気です。

ウイルスは、表面にイガのようなものをまとっています。このイガのトゲトゲを感染者のからだの細胞に引っかけるようにしてくっつきます。ウイルスは取りついた細胞を利用して、自分のコピーをどんどん作り、増殖していきます。取りつかれた細胞は、正しい機能を次第に失い、最後は死んでしまいます。

多くの細胞が侵されれば、からだの機能に不調をきたします。最悪死んでしまいます。

そうなる前に、からだは「T細胞」という免疫細胞を出動させて、ウイルスに侵入された細胞もろともやっつけていきます。

ウイルスをやっつけるのは自分自身

ウイルスだけを殺す薬はありません。

ウイルスの増殖をある程度遅くする、または諸症状を緩和する薬はありますが、体内のウイルスをやっつけるのは自分の免疫細胞に頼るしかありません。

T細胞の働きを活性化させるため、体温が上がります。また、免疫を動かすために分泌される物質の副作用で、からだの節々が痛くなるなど、さまざまな症状が出ます。インフルエンザの辛い症状は、免疫がウイルスと戦っていることを表しています。

一度感染すると、からだはそのウイルスに合わせた「抗体」を作ります。抗体は、次に同じウイルスがからだに入ってきた時、細胞内に侵入される前に撃退する役割を果たします。

ワクチンが防げる・防げないウイルス

ワクチンとは、簡単にいうと、増殖力を奪われたウイルスです。

からだに入っても増えなければ、細胞は破壊されません。が、感染(異物侵入)はしているので、からだは抗体を作ります。

抗体は数か月から半年くらい機能します。流行前に予防接種することで、事前に体内に抗体を作り、感染しても発症する前にウイルスをやっつける準備をするのです。

インフルエンザウイルスのトゲトゲには大きく3種類(A・B・C型)あり、更にA型は150種類弱の亜種に分かれています。ワクチンは通常複数種の型をミックスしてあります。抗体は、それぞれの型に対応して出来ます。抗体に合致したウイルスならば撃退できますが、全然違う型のウイルスに感染した場合は、発症を防げません。

「予防注射したのに、インフルエンザにかかっちゃった!」

という人は、ワクチンの型が流行したインフルエンザの型と合っていなかった可能性大です。

ワクチンの効果は運次第なのか?

ワクチンの型は誰が選ぶ?

毎年、すべての型のワクチンを接種できれば、ほとんどの感染を防げるかもしれませんが、ことはそう簡単にはできません。

ワクチンを作るには、もとのウイルスを、増殖力を失わせる形で大量に培養しないといけません。準備にはある程度の時間と手間がかかります。毎年すべての型のウイルスを、ワクチンに必要なだけ培養することは不可能です。

日本では、「国立感染症研究所」というところが、早い時季にその年流行るインフルエンザの型の予測を行っています。この予測に基づいて、その年のワクチンの型が選ばれます。

また、人や一部の動物に感染するウイルスは、種族を超えた感染を繰り返すうちに、突然変異で新たな型を生み出す場合があります。新型ウイルスが発生した時点では、誰も抗体を持っていませんし、ワクチンももちろんできていません。

流行予測と外れたインフルエンザが流行った場合や、新型ウイルスが登場すると、予防接種で発症を防ぐのは困難です。

予測がはずれると予防接種は無意味なのか?

予測と実際の流行が完全に合致することは滅多にありませんが、予防接種の効果があるかどうかは運次第なのか?というと、意外とそうではありません。

まず、流行しやすい型はいくつか決まっており、そこからも選んでワクチンミックスに加えられているので、流行予測が100%外れることはほぼありません。いくつかはだいたい当たります。

ウイルスのタイプを決めるトゲトゲは、2種類の糖タンパクの組み合わせでできています。それぞれの糖タクパクの型と組み合わせ方によってウイルスの型が決まります。

抗体が完全ブロックするのは同じ型のウイルスですが、2種類の糖タンパクのどちらかの型があっている場合も、ある程度は撃退効果があります。

ということで、たとえインフルエンザを発症したとしても、予防接種していなかった場合より、T型細胞出動規模がずっと小さく済む確率が高いのです。

一番大事なのは、やはり手洗い等に注意してウイルスをからだに入れないことです。が、感染してしまった時に重症化させないために、予防接種を受けることは効果的なのです。

まさケロンのひとこと

まさケロンはインフルエンザにならないために部屋をしっかり加湿してるよ~!あとははやく寝る!よく食べる!そしてまた寝る!・・・・・怠けすぎ?

masakeron-surprised


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。