今年も
八十八夜の季節
がやってきます。
立春から数えて88日目にあたるこの日は、春から初夏に季節が切り替わるころで、丁度新茶の収穫期にあたります。
産地により収穫開始時期は多少異なるのですが、新茶の最盛期に摘まれたお茶は
八十八夜茶
として昔から珍重されてきました。
お茶に含まれる成分とその効能について改めて探りながら、八十八夜茶のパワーを解析してみましょう。
成分と縁起のよい一番茶
春の新茶はグレード最高級
お茶は、木の枝先に出る新芽の部分だけを摘んで作ります。
摘んでもすぐに次の新芽が出てくる発育力のある木なので、春から夏にかけて2、3回収穫期があります。
4月下旬ころから5月にかけて、その年の最初の茶摘みで出来る新茶のことを
一番茶
と呼びます。
秋から春の間に蓄積された栄養が十分に含まれる一番茶は、最も風味が豊なお茶とされており
- 二番茶(6~7月上旬ごろ)
- 三番茶(7半ば~8月ごろ)
と後になるほど高級度は下がっていきます。
八十八が末広がりで縁起がいいことも合わせ、この時に摘まれた新茶は古来から不老長寿を招く極上の縁起物として扱われてきました。
風味の元は旨味成分テアニン
お茶に含まれる旨味成分(アミノ酸)の半分以上を占める
テアニン
がお茶特有の甘味や旨味の元です。
最近になり、テアニンを摂取すると脳の中のα波が増大することが証明されました。
α波は人がリラックス状態にある時に出ます。
お茶が人の心を癒す働きは、テアニンによる効果なのです。
日光に当たるとカテキンという成分に変わる性質があるので、日照時間や日差しの強さが増す真夏にいくほどテアニンの含有量は減ります。
心身の活性化を促すカフェイン
同じく日光にあたると減ってしまう成分にカフェイン(苦味成分)があります。
大脳の中枢神経に作用して働きを高めるカフェインは、頭や内蔵の働きを活発にします。
癒し成分テアニンの効果により、コーヒーや紅茶のカフェインのような興奮作用は抑制されます。
初夏に出たばかりの新芽を摘む八十八夜茶は、テアニンとカフェインが最も豊富に含まれます。
風味豊かな上、癒し効果と活性化作用が程よいバランスで効いて、心身共に元気にしてくれる、まさに極上品なのです。
カテキンパワーは高級茶じゃないほうがスグレモノ
注目の底力カテキン効果
さて、お気づきになられた人もいるかもしれませんが、お茶の高級度を決めるテアニンは、日光を当てると
カテキン(渋味成分)
に変わります。
「カテキン」て、近年その多彩なパワーが注目を集めているスグレモノ成分じゃなかったでしょうか・・・・。
抗酸化作用はビタミンCの10倍の効力です。
活性酸素が抑えられることで老化を予防します。
抗菌作用も抜群でうがいや赤ちゃんの肌の消毒に使ったり、お茶のカテキン成分を入れたシャンプーや洗剤なども出ています。
そもそも「カテキン」の名称は
菌に勝つ!
の意味を込めて日本人が名付けたんですよ。
コレステロール値抑制作用も高く、高血圧症や動脈硬化も防ぎます。
他にも血糖値抑制作用、発がん抑制作用が知られています。
カテキンとテアニンは反比例の関係
お茶の高級度はテアニンの含有量で決まります。
最高級品の碾茶(抹茶にするお茶)や玉露は、一番茶の時季に、覆いを被せて育てた木の、日に当たった時間がより短い先端の葉のみを摘んで作ります。
しかし、お茶の健康促進力の代名詞のようなカテキンについては、よりたくさん日光を浴びて、テアニンを変化させたお茶のほうがたくさんあるんです。
玉露より煎茶や番茶、一番茶の八十八茶より
という皮肉な現実となっています。
古今東西、美味しい物を食べすぎると体に悪く、粗食生活ほど長生きできることになっています。
お茶も、心身をリフレッシュさせてくれる風味豊かな高級品と、風味は普通ですが健康増進パワーに優れた安価品、本当に極上品なのはどちらなのでしょうか・・・・
まあ、八十八夜茶で風味を味わい、心を癒したら、真夏は三番茶がぶがぶ飲んで、健康増進すればいいんですね、たぶん。
お茶を飲むと落ち着いた気持ちになるんは、テアニンのおかげやってんな!
でも、健康に良いカテキンも捨てがたい・・・
両方飲んだら解決やん!