1995年11月、パリで開催されたユネスコ総会にて、毎年4月23日を
世界本の日
とする宣言文が採択されました。
長めに言うと
世界本と著作権の日
で、
- 読書
- 出版
- 著作権の保護
の促進を目的として定められました。
現在では国際連合の国際デーのひとつにもなっています。
由来はスペインカタルーニャ発「サン・ジョルディの日」
本の日はスペインから提案され、世界各国に対して強く働きかけが行われた結果、制定されたものです。
この日はもともとスペインのカタルーニャ地方で
サン・ジョルディの日
と呼ばれる聖人を記念する祝日で、親しい人に本とバラの花を贈る習慣がありました。
守護聖人を讃える日
キリスト教の中でも、カトリックなどの一部流派では聖人を讃える慣わしがあります。
聖人は、布教に尽力したり、一途な信仰心が人々の手本になったり、何か特に立派なことをして、人徳の高い信者に与えられる称号です。
聖人と認められると、命日が○○聖人の日として後世まで記念日にされることが常です。
ローマ時代から中世初期はキリスト教が迫害されていたので、殉教した人が死後聖人とされることが多かったようです。
カタルーニャ地方の守護聖人とされている聖ゲオルギオス(サン・ジョルディのこと)は、ドラゴンを退治した勇者の伝説がある殉教者です。
バラの花を贈って祝う記念日
ゲオルギオスは実は本とは全く何の関係もありません。
本を贈る習慣が生れたのは、スペインでも20世紀に入ってからなのです。
ゲオルギオスのドラゴン退治の伝説によると、彼によって心臓を突かれて果てたドラゴンの胸から溢れた血から、見たこともないほど美しいバラの花が咲いたそうです。
彼は永遠の愛のシンボルとしてそのバラを王女に贈りました。
それに由来して、聖ゲオルギオスの日には男女がバラの花を贈りあう習慣が根付きました。
出版業界の便乗商法が今の「サン・ジョルディの日」を作った
一方、4月23日はスペインの有名な小説家セルバンテス(ドン・キホーテの作者)の命日でした。
また、シェイクスピアの伝説上の誕生日であり命日であることが世界的に有名です。
これにちなみ、1923年にカタルーニャ地方の本屋がこの日に
というプロモーションを始めました。
花と本は
美と教養
愛と知性
のシンボルである、ということで、愛する人と贈りあうプレゼントに相応しいと、人々に大変快く受け入れられ、やがてスペイン中に習慣として広まりました。
日本の「サン・ジョルディの日」
ユネスコより早かった日本の反応
日本では、実はユネスコが本の日を定める9年も前、1986年に、早々にサン・ジョルディの日は導入されていました。
バブルがどんどん勢いづいていた時期、日本書店商業組合と日本・カタルーニャ友好親善協会などが率先して、書籍販売とスペイン文化の紹介を促進しようとキャンペーンを進めました。
花屋業界も巻き込んで、
として定着させようとしましたが、どうも日本人には馴染めなかったようで、思ったほど広まりませんでした。
地味ですが、本屋さんと花屋さんが今も頑張ってます
その後、ユネスコ・国連での世界図書・著作権デーの制定を経て、改めて2001年12月に
が定められました。
その10条に4月23日を
子ども読書の日
として定めることが書かれています。
以後、男女間の贈り物の日、というニュアンスでは、バレンタインデーとホワイトデーがどんどんそのその性格を特化していく一方、サン・ジョルディの日は
- 本を読もう、買おう
- 著作権を守ろう
のキャンペーン色が強まっていったようです。
現在でもこの時期、出版業界や生花販売業界が地道に販売促進しています。
不景気が良くなるのかどうか、まだまだ先行き不透明な世の中ですが、そんな時代だからこそ「美と教養」「愛と知性」の感性を育てるための出費は、惜しむべきではないのでしょうか?
子どもの将来のための出費と考えれば、親は思い切って踏み切るべきなのか否か・・・・。
あなたはサン・ジョルディの日に本を買いますか?
最近の若い人は、本をあんまり読んでないんとちゃうかなぁ~
ぎょうさん読んでる人もおると思うけど、漫画を読んでる人の方が多いと思うわ。
ちゃんと、小説読みや!