短期間で20万円欲しい
海外旅行に行きたい
なぜか今年に入って筆者の職場では海外旅行がブームになっています。
親しい同僚たちがこぞって海外旅行に出かけているのです。
しかも南米とか北欧とかちょっとひと味違う国へ旅行しています。
それできれいな景色とかの写真をfacebookにアップしたりしているのです。
うらやましい。
そこで筆者も海外に行くことにしました。
アメリカがいいな。
ロサンゼルスあたりはどうでしょう。
決めた、ロサンゼルスに行くことにします。でもよく考えると...
お金が全くありません。
本当にこんなに稼げるのか、ならば始めたい
海外旅行に行くためにはお金が必要です。
筆者はお金がありません。
でもロサンゼルスに行きたい。
お金を貯めなければなりませんが、コツコツためていたら何年かかるか分かりません。
格安旅行会社の一番安いツアーでも12万前後かかります。
食事代や観光代も含めて20万あればとりあえず海外旅行が実現できます。
なんとか20万円を手に入れることができないだろうか?
悶々と悩む日々が続きました。
ある日WEB上で彼氏から億ションをプレゼントされたという記事を見ました。
詳しく読んでみると、その彼氏は
「バイナリー・オプション」
という方法で億単位のお金を稼いだそうです。
「バイナリー・オプション」とは株の一種で、海外の通貨などが値上がりするか、値下がりするかを予想するものです。
たとえば1ドル109円の相場が上がる、下がるを二者択一で選択し、予想が的中したら配当金がもらえるという仕組みです。
筆者はこれまで株を行ったことはありません。株に関しては全くの素人、でも上か下かを選ぶだけなら経験や知識がなくてもできそうな気がします。
そこで「バイナリー・オプション」で旅行代を稼ぐことにしました。
結局FXを始めることになってしまった
仕事やめちゃおうかなあ
バイナリー・オプションを始めるためにはまず証券会社に口座を開設しなければなりません。
WEB上で調べたところ、証券会社選びには細心の注意が必要だということが分かりました。
詐欺が横行しているのがその理由で、悪質な業者が非常に多いということです。
慎重に業者を選んで口座開設の申し込みを行いました。
本人確認書類の提出が必要な証券会社なので悪質な業者である心配はありません。
申し込みから3日ほどで審査が通過した旨の連絡があり、取引ページへのログインに必要なIDとパスワードが送られてきました。
さあ、これで大儲けができる。もしかして億単位のお金が稼げるかもしれない。
どうしようかな、仕事辞めちゃおうかな。
そんなことを考えていたのですが、まさか大きな落とし穴が待っているとは、思いもしませんでした。
バイナリー・オプションのための資格なし
郵送されてきた案内をよく読んでみたところ、
バイナリー・オプションを始めるためには、テストに合格する必要がある
と明記されていました。
証券取引の知識などを問うテストだそうです。そしてそのテストの受験資格はFXなどの取引経験が1年以上必要とのことでした。
そうです、筆者は受験資格さえ満たしていないのです。
つまり筆者はこの証券会社ではバイナリー・オプションを行うことできないのです。
話が違う、そう思った筆者は別の証券会社に申し込もうとしました。
でもその証券会社も同様にバイナリー・オプションについては知識の審査を行うということでした。
バイナリー・オプションを取り扱っている証券会社はゴマンとあり、なかには証券取引の知識の審査がなく、申し込めばすぐ取引ができる業者もたくさんあります。
ですが、そのような業者は99パーセント悪質な業者です。ネット上にはこのような悪質な業者のリストが出回っていますから、興味のある人は確認してみてください。
なぜバイナリー・オプションには証券取引の知識が必要なのでしょうか?
筆者の勝手な予想ですが、バイナリー・オプションはギャンブル的な要素が強いからではないかと思っています。
市場の動向を分析し、値上がりか値下がりかを判断するのが本来のバイナリー・オプションの姿ですが、あまりにもシンプルなルールのため、分析などしなくてもカンで予想が的中してしまう可能性があるのです。
ギャンブル感覚でバイナリー・オプションを行うことを防止するための策なのではないでしょうか?
FXという選択肢
バイナリー・オプション不可という現実を前にして筆者の目の前は真っ暗になってしまいました。
夢に見たあこがれのロサンゼルスが遠ざかってしまったのです。
絶望に打ちひしがれた筆者に、希望の光が射し込みます。
FXなら今すぐに始められるというのです。
FXってどんなもの?儲かるの?20万円稼げるの?
でFXで検索してみると、景気のいい話がたくさんヒットしました。
月100万円だとお?
億単位とはいかないが、充分潤う金額じゃないか?
どうしようかな、会社辞めちゃおうかな。地獄に仏とはまさにこのことです。
よし、FX始めるぞ。
筆者は満面の笑みを浮かべてそう宣言するのでした。
ところでFXって何
証券会社の説明によれば、開設した口座に元出となるお金を入金すれば取引スタートとなるようです。
入金は最低5000円からとなっています。
早速5000円入金しました。
5000円が100万円になるなんてまるで夢のようです。
IDとパスワードを使って、ログイン。
トップページには相場の変動を示したグラフなどが表示されており、いかにもな感じです。
で、FXって何?
どうすれば月100万になるの?
早くロサンゼルス行きのチケットとかホテルの予約がしたいよお。
気持ちだけが先走って、目の前のいかにも金儲けできそうな画面を前になすすべもありません。
しばらく画面を見つめているだけでしたが、やがて「マニュアル」というリンクが設置されていることに気が付きました。
そうだよな、何事もマニュアルを熟読しなければ始まらないよな。
ところがこのマニュアル、PDFファイルで60ページぐらいあり、しかも画面の操作方法についてのマニュアルであり、肝心のFXってなにという筆者の疑問には答えてくれませんでした。
仕方がないため、書店に行って
『日本で一番かんたん』
という文字がまぶしいFX入門書を買ってきました。
もともと経済についての知識が皆無の筆者にとっては、『日本で一番かんたん』なはずの入門書もハードルが高い内容でした。
分かったことは二つだけ。
- FXは株ではなく海外の通貨を対象にしたものであること。
- レートの差を利用して利益を得るものであること。
たとえば1ドル90円の時にドルを買って、1ドル110円になったときに売れば20円の儲けが出ます。
このようにして利益を上げていくのだということです。
簡単そうに聞こえるけどそううまくいくものなのかなあ。
半信半疑でしたが、とにかく始めなければお金を稼ぐことはできません。
入門書には1000通貨からはじめるのが適切と書いてありました。
とりあえず米ドルと南アフリカのランドを1000通貨づつ購入しました。
南アフリカの通貨とは通っぽい選択肢ですが、単純に1ランド90円台で安かったから購入しました。
筆者が口座を開いた証券会社の注文画面では、いま売ったら損益になるのか、利益になるのかが数字で表示されます。
損益ならマイナス、利益ならプラス表示です。
購入直後の時点では米ドル、南アランドともにマイナス表示。
総額350円前後の損益です。
このシステムなら筆者のような初心者でも「売り」のタイミングがよく分かります。
なんだか期待がもてそうです。
この段階で月100万の利益を生むなど、筆者にとっては夢であることに気がつき始めました。
でも旅行代金の20万円なら、ひょっとして何とかなるかもしれない。
そんな淡い期待をいだきながら、チャートと呼ばれる為替の変動を表したグラフを見つめる筆者でした。
ビギナーズラックさえ訪れない厳しい現実
ロスカット発動
初めての「買い」から、1時間がすぎたころ、為替に変動が訪れました。
米ドルがプラス170円の表示に変わったのです。
つまりここで「売り」を行えば170円の利益になるのです。
迷いました。売ってしまおうか、それとももっと上がるまで待った方がいいのか?
そして…
欲に負けました。
まだまだ上がるだろうと予想を立てたのです。
なんだかわくわくしてきました。
それからさらに1時間ほどたって画面を見ると今度はマイナス表示になっていました。
判断を誤ったかもしれないという考えが頭をよぎりました。
でも、もしかしたらまたプラスに転じるかもしれない。
とりあえず様子を見ることにしました。
入門書には「損切りというテクニックが使いこなせなければFXに参加する資格はない」と書かれていました。
損切りというのは損益を拡大させないためのテクニックです。
あらかじめ
というやり方なのだそうです。
損を出さないことに力を注ぐよりも、損益を拡大させないことに注意することが非常に重要だというのです。
そして筆者は後ほどこの教訓の大切さを身を持って知ることになるのです。
「売り」に出さず、様子見をすることになった筆者に証券会社からメールが届きました。
内容は「お客様の純資産額が150パーセント以下になりました。100パーセント以下になるとロスカット注文が発動されます」というものです。
全く意味が分からず、そのまま放置していました。
チャートを確認すると下がる一方でマイナス350円ほどにまで達していました。とりあえず「売り」は明日に持ち越そうと考え、その日は寝ることにしました。
翌日、また証券会社からメールが届いていました。
「お客様の純資産額がロスカット基準額以下になりましたのでロスカット注文が発動されました」
再び意味が分かりません。
注文履歴を確認しろと書いてあったのでその通りにしたところ、なんと勝手に売りに出されており、米ドル、南アランドの合計で約750円ほどのマイナスになっているではありませんか。
何、勝手に売りに出しているんだよ、怒りがこみ上げてきました。
でもこれは筆者が悪かったのです。
このロスカット注文というのはほとんどすべての証券会社が採用している、利用者の資産を保護するための措置なのです。
FXを始めるには先に書いたように元手となるお金が必要になります。
取引で損益が出ると、元出が減っていきます。
もし損益が続けば元手がなくなりマイナスになってしまうこともあり得ます。
ロスカットはこれを防止するために元出の何パーセントといった基準を決め、それ下回る可能性が出てきた場合、強制的に売り注文をかけるというシステムなのです。
このことは口座開設申し込み時に確認する利用規約にもきちんと記載されています。
元出追加でやりなおす。
始めての取引で損益を出してしまった筆者ですが、気合いを入れ直して再出発です。
750円の損益は大きな打撃ですが、いつまでもくよくよしていられません。
まず元出5000円以下では、頻繁にロスカットが発動してしまうでしょうから、さらに1万円追加入金しました。
そして当面、取引は米ドルのみで行うこととしました。
さらにマイナス50円までなら許容範囲とし、それ以上下がりそうなら売りに出すというルールを決めました。
利益に関しては欲を出さず、プラス100円台で即、売りに出すということにしました。
このルールに従えば、大きな儲けにはなりませんが、損益もまた少ないはずです。
FXについて分かったこと
儲けるのではなく、資産を増やす手段
今回FX取引を通じて分かったことがいくつかあります。
まず、FXは基本的にはお金をもうける手段ではないということ。
資産を増やす方法である
と言えると思います。
ある程度の資産があって、すこしずつ増やしていくのが理想的な活用方法です。
資産としては最低でも10万円は必要でしょう。
筆者がWEBで見た
「一ヶ月で100万円」や「六本木ヒルズ」もおそらく可能なのでしょうが、初心者である筆者にはその方法は分かりません。
為替の動向を先読みする力や経験が必要といったところでしょうか。
筆者はFXを始めてまだ一週間経っていませんが、先に書いた自分ルールに従って取引を行った結果、損益の750円は穴埋めすることができました。
現在はプラスに転じています。今現在約200円の利益です。
海外旅行は無理じゃないか、ですって?
そうですね、無理です。でもFXは続けますよ、資産運用方法としてね。旅行については格安日帰りバスツアーでも申し込もうと思っています。
お金をどかんと稼ぐ方法なんて、あったとしても考えないほうがいいと思うんだ。
まさケロンは、コツコツ派!