子どもが大きくなってくると、細かい面倒は見ないで済みますが、メンタル的な部分でのコミュニケーションが難しくもなってきます。
中学生にもなれば反抗期もあり、部活や勉強も忙しく、話す機会すら極端に減ってくるのですが、この3年間での親子関係は結構重要。
中学生生活のラストに控えている高校受験という大きな試練。
親は我が子をどうやって支えてあげるのがベストなのでしょうか。
初めての受験
環境の差も
上に兄や姉がいる、更にその年齢が近ければ近いという子どもは、受験の大変さがある程度理解出来ているので、その態勢に入っていきやすくなります。
長女・長男それに一人っ子は、その点では遅れがちな子も。
「受験」のイメージ
性格や環境にも依りますが、受験というものを身近に見ていない為、なかなかイメージがわいてこないのです。
それは責められないことなんですけど、そばで見ている親にとっては歯痒く感じてしまうことも。
友達の言葉を信じたけど
本音と建て前
そろそろ志望校を決定しなきゃいけない時期になってくると、友達間でもそういう話が出ることも。
でも、最近の子どもはなかなか本音を言わないもの。
「志望校、決めた?」
と、聞いても、
「まだ、全然」
が、お決まりの返事。
志望校決定の締切前日でさえ、そんな会話が成り立っているというから不思議。
信じた結果
でも、その「まだ、全然」という言葉を、信じて疑わない子どもがいることを忘れてはいけません。
「友達も、まだ全然決めていない人が多いから大丈夫」と、思っていたら、実はみんなとっくに決めていたなんてこともあるのです。
その友達にも悪気はない筈なのですが・・・。
でも友達の言葉を信じて、志望校を決めていなかった子は、
「まだ決めていないのか!」
と先生から怒られ、親に電話がかかってきたというケースも。
素直さも裏目に
この時期の子ども達は、友達の話は信じても、親の話はうるさがるだけ。
「志望校、早く決めないと」
という親の言葉より、
「まだ、全然」の方を優先させ、信じてしまう子がいるのです。
疑うことを知らない素直な子であるという一面は、こういうパターンに陥りやすいのかも知れません。
のんびり構えていると大変なことになっちゃいます。
塾に任せるという方法も
そういう心配をしたくないなら、やはり大手の進学塾などに入れるのが一番でしょう。
周りの必死さが伝わってくるので、ここでマイペースを保つのは厳しい筈。
大手の塾が持つ受験に関するノウハウや情報は、学校より上だと思って間違いないでしょう。
親との面談をマメに行なっている塾もあるので、我が子の現在のレベルも把握出来ます。
お金はかかりますが、親がお尻を叩く必要はなくなるでしょう。
志望校を決めるとき
親の意見
その志望校決めで、親子間で揉めてしまうケースも少なくありません。
親としては、
- ある程度恥ずかしくないレベルの高校に行かないと大学受験、就職活動などに影響する。
- 経済的に私立は厳しいから、自分にとって余裕のあるレベルの高校を選択する。
- 遠方や交通の便が悪い高校は避ける。
そんなところを重要視してしまいます。
将来を考えてしまうから
➀と➁は相反しているように思えますが、結局のところ、
「ある程度のレベルの学校に余裕を持った学力で入ってほしい」
ということなのです。
それは子どものこれからの人生を考えてのこと。
どんなに本人が責任感の強い信頼出来る素晴らしい性格だったとしても、社会に出ると、最初に見られるのは履歴書や経歴書。
履歴書では、その性格は殆ど伝わりません。
やはり卒業した学校名などの影響は小さくないと思われます。
レベルの高い学校の人は・・・
「レベルの高い学校に行っている人=人間的に優れている」
それは違うでしょ。
もちろん、それは決して=(イコール)にはなりません。
でも、
「レベルの高い学校に行っている人=それだけ努力している人・努力が出来る人」
というのは、間違いではないのです。
努力できる人
無責任で信頼できない性格であったとしても、「努力できる人」それだけは認めてもらえる要素。
そして、それはとても必要なこと。
たくさんの人数から振り分ける場合、履歴書や経歴書などで判断することは止むを得ないことなのです。
遠方や交通の便が悪い学校
➂については、「出来れば」という程度のこと。
どんなに魅力ある学校でも、毎日通うということになると、遠方や交通の便が悪い所では辛いもの。
そんなことも心配しちゃうものなのです。
中学生までは校区内という限られた距離での通学で、殆どの場合あまり時間をかけずに通えていた筈です。
人生の先輩
登下校に時間がかかってしまうと、それだけ勉強出来る時間も減るんじゃないか。
睡眠時間が少なくなってしまい、健康面に影響が出るのではないか。
細かいことも気になるものなのです。
やっぱり親は人生の先輩。
「毎日のこと」の大変さを知っています。
毎日のことになると大変だよ
その言葉が、子どもの心に素直に入ってくるのは、自分が実際に通い出してからということになるんですよね…。
「やってみなきゃ、分からない」
ということなのでしょう。
分かってはいても
子どもの将来を考えたら・・・
親はいつも、子どもの人生の先の先までを考えます。
でも、そんな話は子どもにとっては苦痛。
将来を考えることの必要性を分かっていない訳ではなく、安定した生活を送ることが幸せに繋がるってことも、なんとなくでも分かっているのです。
自分の人生の選択
でも、まだまだ自分の可能性を試したい年頃。
安定に繋がる線路の上は走りたくないのです。
昔のことで忘れがちだけど、自分がその年頃には、やっぱり同じような思いだった筈です。
最終的に志望校を決めるのは子ども本人。
自分で決めたことであれば、あとで人のせいには出来ません。
初めて子どもが自分自身で決める人生の大きな選択。
見守ってあげましょう。
親の思い
何もしてあげられない
「子どもの受験は、自分の受験の時よりキツイ」
子どもの受験を見守ってきた親の多くはそう言います。
何もしてあげられない・・・という思いや、見ていることしか出来ない歯痒さ。
それは考えていた以上に、結構辛いもの。
地味にこっそり頑張っています
そんな中でも、出来得る限りのことはやろうという親もいます。
- インフルエンザの予防接種、手洗い、うがい、マスク着用は家族全員の必須項目
- とにかく体調を崩さないようにと、こっそり食事に気を遣う
- 空気清浄機や加湿器を置いてみる
- 除菌スプレーをあらゆる物に吹きかける
- 神社や教会を見かけると、遠くからでも「うちの子、よろしくお願いします」と祈る
- 落ちる、落ちた、落下、滑る、などは禁句→「移動」などの言葉に置き換える
笑っちゃいたくなるようなことかも知れませんが、そんなことで思いを分かち合おうとしているのが親なのです。
試験前日、緊張して眠れないのは親の方かも知れません。
あの頃のまま
受験当日はついつい気合が入ったお弁当を作ってしまったりするものですが、緊張をほぐしてあげる為には、「いつものお弁当」が一番。
その日は親も心配MAX。
いくつになっても、親にとっては小さい子どものまま。
あぶなっかしくて、放っておけない頃のままなのです。
子どもにとっては、それが嫌で反発しちゃうんでしょうけど。
こんな親でありたい
忙しいのは、これからです
受験が終わると、ホッとして、逆に体調を崩したりしがちなので気を付けましょう。
でも、まだ合格発表が待っています。
忙しくなるのは、そこからです。
まだまだ体力・精神力ともに、しっかり残しておかないといけません。
合格する者、落ちる者
合格する者もいれば、落ちる者もいる・・・それが受験。
今までの人生で一番勉強を頑張った日々だったのに・・・。
それが報われないこともあるのです。
本人はもちろん辛いけど、そばで見守ってきた親も思いは同じ。
言葉に出来ない
そんなとき、子どもに何て声をかけますか?
子どもの落胆は想像以上なもの。
あんなに頑張ったのに・・・
それを知っている親だからこそ、思いが上手く言葉に出来なかったりします。
忘れられない言葉
子どもと一緒に合格発表を見に行き、合格していないことが分かった時、落ち込む我が子に、こんな言葉をかけた母親がいました。
こんなセリフをサラッと言える親って、なかなかいませんよね。
素直に「すごいな」と思えます。人間としての大きさも感じました。
静かに、そして力強く
受験は子どもにとっても親にとっても試練の時。
そして、その絆が試される時でもあります。
なるべくごちゃごちゃ口を出さず、ジッと見守る強さも身に付けましょう。
辛かったり、苦しかったりしながらも、子どもがまたひとつ大人に近付いていく姿を、静かに、そして力強く支えてあげられる親でいたいものです。
社会にでたら「結果」が全てだけど、受験は別。
受験に成功しても失敗しても、受験で大事なのはそこまで頑張ってきた「過程」だと思うんだよね。
「がんばれる人間」って、そうそういないんだよ。受験で挫折を味わってるならもっと成長できるかもしれない。
結果をきっかけに、もう一度「子どものこれから」を考えていこう。