子どもたちも春休みに入り、春の行楽シーズン真っ盛りです。
震災後に落ち込んだ国内観光地の景気も、徐々に回復してきたようです。
この所、海外でのテロのニュースが増えてきていることも、国内旅行に目を向ける人を増やしています。
日本の旅館は、外国のホテルやモーテルにない独特のサービスをしているので、海外のお客さんにも人気があります。
中居さんのサービスや浴衣着の習慣などは旅館独特の文化ですね。
なんて思っていたら、実は「旅館とホテルの違い」って、そういうことじゃないらしいです。
旅館・ホテル・民宿の違い
和の旅館・洋のホテル・アットホームな民宿 のイメージ
それぞれに抱くイメージは、だいたいどの人も同じような感じではないでしょうか。
旅館のイメージ
- お部屋は和室。トイレと洗面所付き。
- 寝具は布団。上げ下ろしは中居さんがやってくれる。
- 基本的に朝夕食付き。部屋まで中居さんが運んできてくれる。
- お風呂は基本的に大浴場。風呂上り後の館内着は浴衣。
- 名称は「〇〇旅館」「〇〇荘」「〇〇館」「×宿〇〇」・・・など。
- 一部屋に1人担当中居さんがつく所は、人件費が高くなる分宿泊費も高い。
ホテルのイメージ
- お部屋は洋室。トイレと洗面所と洋風浴室orシャワー付き。
- 寝具は備え付けベッド。ベッドメイキングはやってくれる。
- 基本的に素泊まり。注文制ルームサービスはあり。
- 大浴場はなし。廊下やロビーでの室内着はNG。
- 名称は「〇〇ホテル」「ホテル〇〇」
- 食事が付かない分、旅館より安い
民宿・ペンションのイメージ
- お部屋は洋室も和室もあり。部屋数少なく、建物も小さい。
- 部屋ごとのトイレ・洗面所はない所もあり。
- 基本的に朝夕食付き。広間などで泊り客(従業員もの場合もあり)が一斉に食事。
- お風呂は共同浴場。和風の民宿は浴衣着あり。
- 従業員さんのサービスが細やか。コミュニケーションすることも多い。
- 名称は「民宿〇〇」「ペンション〇〇」「×宿〇〇」「〇〇荘」・・・など。
- 少ないお客さんに対して手厚いサービスだが、設備が小さい分旅館より安い。
以上のように、部屋の造りの和洋の違いと、サービスの仕方の違いで、3つをなんとなく区別している人が大半です。
法律の中の区別はハード面の違いだけで分類
しかし、実際の「旅館業法」という法律では、お部屋の造りと規模の違いで3つを区別しているに過ぎません。
- 旅館は主に和室。部屋数5室以上。一部屋7㎡以上。
- ホテルは主に洋室。部屋数10室以上。一部屋9㎡以上。
- 旅館やホテルに満たない条件の宿が民宿・ペンション。
旅館とホテルは基本的に「和室と洋室の違い」であること、「規模の小さいところ」が民宿・ペンションであることの2点は、大方イメージ通りですね。
更に「旅館業法施行令」に、設備の面でもう少しはっきり定めています。ハード面の整備については、ホテルのほうが、何かと規制は厳しいようです。
- 旅館は浴場があればいい。温泉や銭湯が隣接していれば、館内になくてもいい。
- ホテルは洋式浴室かシャワー設備が必要。
- ホテルは入り口と窓に鍵がかけられ、隣とは壁で仕切られるようになること。
- ホテルのトイレは洋式。館内のトイレは男女別に区別する必要あり。
法的な分類では、これらハード面の違いだけで区別しています。
なので、旅館だからといって浴衣着サービスや夕食付が当り前、というわけではなく、都会の旅館などでは素泊まりで大浴場もない、ビジネスホテルのような旅館もけっこうたくさんあるのです。
おもてなしの濃度の違いと名称は一致しない
個人のプライバシーを尊重する洋式。ふれあいの和式。
ホテルの規制は、トイレの洋式はもちろん、お風呂が個人で入る仕様だとか、部屋のプライバシーを守ることに留意している点など、グローバルスタンダードというか、西洋人のお客さんに使いやすいスタイルを意識している傾向が見られます。
個人のプライバシーを尊重する姿勢は、自由を重んじる文化が根付いている欧米人らしい志向に配慮しています。
日本の旅館のほうが、ぶっちゃけて言うと、個人のプライバシー保護に対しては比較的アンニュイです。
これは、旅館や民宿のほうがお客さん同士や従業員とのふれあいが、やはり濃くなりがちなことを意味しているのかもしれません。
観光地の旅館は、サービスぶりが手厚い傾向があるのは確かです。
食事サービスの違いや浴衣の習慣などは、まさに、日本の「おもてなし」の形の現れです。
名称についての規定がない、のがややこしい
やはり、3者の違いはサービスの形の違い、というイメージは間違ってはいません。
宿では静かにあまりかまわれたくない人、個人的な時間を大事にしたい人はホテルの方が向いています。
一方、日本の手厚いおもてなしに触れたい人、大きなお風呂に皆で入りたい人は、旅館が向いています。
が、これはあくまで、法律的に分類した場合の「旅館・ホテル」のことです。
実は、法的分類で振り分けた種類と、その宿泊施設の名称は、必ずしも合致していません。
それぞれの規定の中に、名称も限定しないといけない条文は入っていないのです。
つまり、どう見ても旅館なのに、「〇〇ホテル」という名称の施設が、地方の観光地などにはたくさんあります。
最近の民宿は幅が広すぎて、何が民宿かわからない
また、「民宿・ペンション」の幅がとても広いため、規模や名称を見ただけでは、どんな宿なのか、とてもわかりにくいです。
個別規制が、規模の小ささ以外は特にないので、中にはホテルみたいな、または高級旅館みたいな民宿がたくさんあるのです。
昔は、民宿といえば、漁師宿や山の中のペンションのように、地元の民家を開放したような宿で、宿主の旦那さんと女将さんの手作りの濃厚なおもてなしが味わえる素朴な宿でした。
人件費も設備投資も少ないですから、豪勢なお料理と手厚いサービスでも、かなりリーズナブルな料金が一般的でした。
最近、貸切風呂付き個室が3部屋、4部屋だけの隠れ家のような小さな旅館が、リゾート地で流行っています。
規模でいうと、「民宿」に分類されてしまいますが、料理はお部屋で食べられたり、他の部屋の人と顔を合わせない造りになっていたりして、全然民宿っぽくありません。そして値段は下手をすると高級旅館並みです。
こういう所は名称も「民宿」を名乗らず、「島宿」とか「御宿」とか、こじゃれたいい方をしている所が多いです。
一方、山のペンションなどでは、洋風な作りで設備も法令通りならば、中身は民宿でも「〇〇ホテル」としている所もあります。
とにかく、お泊りプランをよく見てから決めましょう
最近は、インターネットが普及して、宿泊施設の多くがHPを持っているので、できれば実際の施設の写真や、お泊りプランや、利用者の口コミなどをよくよく見てから宿を選ぶのが賢明でしょう。
名称や値段だけでは、どんな宿なのか、なかなか判断できない時代です。
GWや夏休みの旅行プランを今から練っている皆さん、どうかご自分にピッタリ合う宿を上手に見つけてください。
名前だけじゃ、「ホテル」なのか「旅館」なのか「民宿」なのかわからないってことだね。
事前にインターネットでチェックしよう!