初めに言っておきます。
今回の記事はぶっちゃけ「うんちのお漏らし」の話です。
これからお食事、という人などは、読むタイミングにご注意ください。
うんこが漏れない世界をつくりたい
世界初の排泄予知ウェアラブル
のっけから、「うん〇」の連発で恐縮です。
ベンチャー企業「Triple W[トリプル・ダブリュー]」(代表:中西敦士さん)が2014年2月に発表した画期的“排泄予知デバイス&スマホアプリ”
『DFree[ディーフリー]』
5月から予約開始の予定で準備を進めていましたが、ニッセイ・キャピタルやアイスキャピタルからの資金調達が叶ったことが発表され、早々に4月24日からクラウドファンディングのREADYF0Rにて予約販売を開始しました。
これは、デバイスをお腹に貼っておくと、便や尿が「10分後に出ますよ~」という情報をスマートフォンにこっそり送ってくれる、といういわば「うんち予報」ウェアラブルです。
ネタじゃありません!!
開発した中西敦士さんはインタビューで、
「私もうんこを漏らしたことがあります」
とのっけから自身の体験を告白し、
「事前にわかっていればそんなことにはならなかった」
の思いから開発したと語ります。
そして
「うんこが漏れない世界をつくりたい」
と大きな夢を持っておられます。
「そんなものどこにビジネス需要があるんだ?(笑)」と思う人もいるかと思います。
が、決してこれはお笑いネタではありません。
世界には、排尿や排便のコントロールがうまくできずに苦しんでいる人が、実はとてもたくさんいるのです。
これは、
そんな真面目で崇高な目標を持った取り組みなのです。
誰にも言えない排泄の悩み
タイミングよく排泄するのは実はとても凄い機能
普段は健康な生活を送っている人でも、ちょっとお腹を冷やしたり、体調が悪かったり、飲み過ぎたりした時、外出先などで急に激しい便意を覚えて辛い思いをした経験をお持ちの人は、決して少なくないでしょう。
人間の消化・排泄機能は、とてつもなくパワフルに働いています。
老廃物には身体によくない毒素がたくさん入っていますから、速やかにスッキリ体外へ出してしまおうとするのは、からだを守る上で大事な機能です。
腸のぜん動運動は老廃物を常に常に出口に押しやるように動いており、通常は肛門の括約筋が、やはり物凄い締め付け力をもって、必死に垂れ流れることを食い止めています。
悪いものを食べて当たったり、疲れたりして消化能力が落ちると、胃腸は大至急中のものを出してしまおうとするため、押し出す力を急激に高めます。そのため、時に間に合わない事態も起こるのです。
排泄の失敗の不安は、生活を狭く、暗く閉じ込める
年をとると、脳からの指令が身体に届くのがだんだん鈍くなります。
事故や病気で脊髄機能が損傷している人は、普通に胃腸が機能している時でも、括約筋の開け閉めの調節が自分で思うようにできなくなることがあります。
こうなってくると、何日も便秘になったり、急激に下痢をしたり、無意識のうちに漏らしたりするようになります。意図しない失禁もおこります。
そういう人たちの中には、トイレのことが心配で、外出することができなくなってしまう人がたくさんいます。
頭はちっともぼけていない段階では、おむつで外出するのには抵抗を感じる人が大半です。
車いすの人や高齢者がひきこもる大きな原因のひとつでもあります。
ひきこもってしまうことで、うつ病や認知症を発祥してしまう人もいます。
また、お漏らしのケアは、介護を担う人の負担も重くしています。
トイレで排泄介助してもらうのと、ベッドでおむつ交換してもらうことの違いは大きいです。
介護する人にもされる人にも大きなストレスとなってしまうのが、「うんちとの闘い」の問題なのです。
排泄に怯えるストレスを感じている日本人は数千万人
Triple Wの調査によれば、日本には、
- 脊髄損傷のために便意が感じられない人が10万人
- 排泄介助が必要な高齢者は600万人
- 過敏性腸症候群で、いつも便が出るかもしれないことに怯えている人が1200万人
- 更年期になって尿漏れ症状に悩む女性が800万人
いるそうです。
排泄予知ウェアラブルは、これらの人にとって、大きな助けとなる可能性を持つアイテムになるでしょう。
自分でトイレにいって自分でできることを可能に
排泄予知ウェアラブルのしくみ
DFreeは、薄型歩数計のようなデバイスです。
お腹に貼り付け、超音波センサーで膀胱や直腸を24時間モニタリングします。
膨らみ方や振る舞いなどのデータの蓄積により、排泄のタイミングを予測して、間もなく出ますよーという時を知らせます。
これによって、“出ちゃう前に”余裕をもってトイレにいって、タイミングよく排泄することが可能になります。
これまで、排泄障害のある人のケアは、オムツの精度向上と薬による調節に重きが置かれてきました。
しかし、このウェアラブルは、「自分でトイレに行って自分でできる」ことをサポートすることを目指しています。
これは、漏れることを前提として生活してきた人にとっては、まさに福音となる支援です。
ベンチャーの今後に大いに期待!
- 直腸にいっぱい溜まっても排泄しない便秘症の人はどうするんだ? とか
- 知らされた時にトイレにすぐいける環境を整えないと意味がないだろう、とか
- 眠ってる時に知らされても気づかないで漏らしちゃうだろう、とか
まだまだ課題はありますが、若きベンチャー社長は、更に機能の向上を図り、広く医療分野に役立つ機器を開発することを目指しているそうです。
「うんちのお漏らし」と聞いて、笑いネタの状況しか思い浮かばなかった人は、もしかしたら、まだまだ身体が健康な若い人か、あるいは、赤ちゃんや老人や病人の世話は家族の誰かにお任せっぱなしで人生を送ってこられた人かもしれません。
平均寿命は延びているのに、成人病率の上昇や体力の低下も進んでいる現代人にとって、「下の世話」にまつわる問題は、決して他人ごとではありません。
「うんち予報」技術の発展は、私たちの未来に関わる大事なことですね。
排泄障害が身近じゃない人にとっても、ほとんどの職業に「したくてもできない時間」ってあるよね。積み重なるとけっこうなストレスだよね。「うんち予報」技術が発展すれば、その辺のスケジュール管理もできて今よりも過ごしやすくなると思うな~。