最近、自炊派の老若男女の間で、『スキレット』がブームとなっています。
スキレットとは、もともとアウトドアでお馴染みの調理器具で、分厚い鋳鉄製のフライパンのことです。保温性に優れ、熱むらがなく、重たい蓋をして加熱すると圧力調理もできる、薄型ダッチオーブンのようなものです。そのまま食卓に出してもおしゃれなため、
「簡単便利で料理が楽しくなる!」
と、2015年前半ごろから一気に人気が上がりました。
スキレットの人気のひみつ
ブームの火付け役はニトリの「ニトスキ」
アウトドア調理器具の類は、アメリカの鋳鉄製調理器具のメーカー「ロッジ(LODGE)」が、世界的にも有名です。が、今回の日本のブームは、
から始まったようです。
オーブンや魚焼きグリルにも柄ごと入れられ、食卓にもそのまま並べられるサイズが、一人か二人分のちょっとした一品料理を作るのにとても便利!と注目を集めるようになりました。最近は100均でもこの小型スキレットが定番品になっています。
これら小型スキレットを使った家庭料理のレシピが、レシピ投稿サイトにもたくさん溢れ、
「ニトスキ料理」
などという言葉も生まれています。2016年3月現在、ニトリでは6インチサイズのニトスキは、製造が追いつかずに入荷待ちの店舗もあちこち発生しているそうです。
蓄熱性が高く、遠赤外線効果もあり、鉄分も補給
キャスト・アイアン(鋳鉄)製のスキレットは、蓄熱性が高いので、一度熱くすれば、あとは弱火で調理できます。ホットケーキやステーキなど、次々焼いてもずっと一定温度が保たれ失敗しません。スキレットごと食卓に出すと、なかなか冷めずにアツアツで食べられます。
鋳物は遠赤外線効果もよく、外はカリっと中はしっとりふっくらの焼き上がりとなるので、安い肉のステーキもお店のように美味しくできます。蓋をすると焼き芋やパエリアも上手に作れます。
ガスレンジでもオーブンでもIHでも使えます。もちろんアウトドアでも。パンを焼く時の型にすると、普通の型より周りがカリッと中はフワフワになります。
鉄製なので、これで調理すると、当然鉄分の摂取量がアップします。
デメリットもしっかり理解して使おう
鉄のフライパンの手入れ法、知らない人多いんです
なんだか良いことづくめのようなスキレットですが、デメリットもあります。
まず、鉄製のフライパンは特別に手入れが必要です。アラフィフ以上の世代の人たちは、鉄製のフライパンが普通だった時代を知っているので、同じように手入れすれば大丈夫です。フッ素樹脂加工のフライパンが当り前の世代の人たちは、
“鉄のフライパンは放っておくと錆びる”
という認識が薄く、普通に洗剤で洗って伏せて置いたり、食器洗浄機に入れてしまったりして、次回使おうとすると錆びてた!なんてことがあるようです。
“鉄の鍋は表面に油の膜ができるようにしてやらないといけません!”
そのために、
- 使い終わったら、お湯とたわしで洗う。洗剤は使わない
- 洗ったら、火にかけて乾かす
- 乾いたら、キッチンペーパーなど使い、薄く油を塗っておく
- よく冷ましてからしまう。長く使わない時は新聞紙で包んでおく
これだけ守れば、鋳鉄製のフライパンは、使い込むほどなじみ、ずっと使えます。
洗う動作は習慣付けると手間じゃない
鉄のフライパンを使っていた人たちはわかっていますが、洗って乾かして油を塗る手間は、洗剤で洗って水を切って拭くのと、そんなに大変さは変わりません。
料理を盛りつけたら、そのまま流しでお湯出してササッと洗い、底をサッと拭いて火にかけて乾かす、そこまでが一連の作業のように習慣付いてしまうと、料理が終わってから改めてフライパン洗うより後がラクです。
ただし、まだ熱いフライパンにいきなり冷たい水をかけると鍋が傷みます。洗う時はできるだけ高めの温度のお湯で洗ってください。
もし洗い残しや乾かし残しがあって錆びてしまった時は、金たわしでゴシゴシ擦って落としましょう。あとで油コーティングを忘れずに。
重くて、熱くて、持ちにくい
スキレットは持ち手の部分まで熱くなりますから、鍋つかみなど使って下さい。重さも、ステンレスのものより重いので、“鍋ふり”をたくさんするような料理の時は、持ちやすい中華鍋など使った方がいいでしょう。
オーブンやグリルから出す時や、食卓でも、なかなか冷めずいつまでも熱いです。柄の部分にうっかり手が当たらないように気をつけましょう。子どものいる家庭では、食卓にそのまま出すのは危ないかもしれません。
大人数の時は大きなスキレットや他の耐熱容器で
ニトスキごとオーブン調理して、そのまま出すと美味しくできますが、3人、4人、5人・・・と大人数になると、一人分ずつニトスキごと出すのは大変です。大人数分のパエリアやグラタンなどは、大きなスキレットや柄のない鋳鉄鍋、耐熱皿などで作り、取り分けましょう。
もうしばらくブームが続きそうです。この機にぜひスキレットを使いこなし、あなたも「料理上手」になっちゃいましょう。
なんだか面倒な気もするけど、フライパンのお手入れも料理の一部なのかもって思ったら手抜けないな~。