宇宙

40年後にお隣の恒星まで行ける宇宙船開発計画!が発表されたよ

Written by すずき大和

2010年6月に「はやぶさ」が地球に帰ってきてから、

「宇宙の神秘」「日本の宇宙開発」に魅力を感じ、

「宇宙開発」の未来に夢やロマンを抱く

そんな日本人がたくさん増えたような気がします。

しかし、2016年3月、日本の開発したX線天文衛星「ひとみ」(ASTRO-H)が宇宙空間で音信不通になったことで、世の中に若干ブルーな空気が漂いました。

はやぶさの時のような奇跡が起こり得る可能性も低そうだし・・・・

地上では熊本大地震が起こるし・・・・・

なんだか春から落ち込みぎみの日本社会です。

地震報道の影で、日本ではあんまり取り上げられなかった世界の注目ニュースの中に、宇宙好きにとってはワクワク胸躍るビッグなプロジェクトの話題がありました。

ひとみも被災地も「安心してください」といえるようになるまでにはまだ時間がかかりますが、今はせめてちょっと夢のある話題で元気出してみましょう。



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ブレイクスルー・スターショット計画

光の速度の20%の速さで他の恒星まで行ける

1961年、ガガーリンが世界初の有人宇宙飛行に成功した4月12日、ニューヨークで、

“恒星間移動を実現する超小型宇宙船の開発計画”が、

ロシアの大富豪「ユーリ・ミルナー」氏と

世界の誇る物理学者「スティーブン・ホーキング」博士

によって発表されました。

『ブレイクスルー・スターショット(Breakthrough Starshot)』と呼ばれる今回のプロジェクトは、

“太陽系から約4.3光年離れたケンタウルス座のアルファ星へ数千個の探査機を送り込む”

という「恒星間探査計画」です。

現在、人類が最も遠くまで送り出した探査機「ボイジャー1」は、今のところ地球から約200億km離れた宇宙を、秒速約17kmで航行中です。が、この速度では、太陽系に最も近い恒星のアルファ星(地球から約40兆km)まで、7万年以上かかってしまいます。

ブレイクスルー・スターショット計画では、光速の約20%(時速1億6000km)まで宇宙船を加速させることが可能です。これなら、冥王星まで3日、アルファ星まで20年で行ける計算です。

今の世代が生きているうちに実現させよう!

計画を推進するのは、ミルナー氏が設立した、

“地球外生命や生命が生息可能な惑星の発見”を目指す

『ブレイクスルー・イニシアチブ(Breakthrough Initiatives)』という団体です。

計画の実現のためには、まだまだ解決しないといけない課題は多く、50~100億ドルに及ぶ膨大な費用が必要と見込まれます。今回、ミルナー氏は当面の研究費として1億ドルの出資を発表しています。

また、ホーキング博士の他にも、FacebookのCEOマーク・ザッカーバーグ氏ら多くの人たちが、出資・技術協力など支援を表明しています。

日本からも、神戸大学で神戸宇宙開発研究プロジェクトを率いる賀谷信幸氏がアドバイザーのひとりに入っています。

ミルナー氏は、国際的な公有計画として実施していく方針で、これからも世界中に人や技術の協力を呼びかけ、20年後には宇宙船の発射を実現させ、40年後にはアルファ星に探査機が到達できることを目指しています。現在54歳のミルナー氏は、何としても生きているうちに恒星間移動を実現させたいと願っているようです。

超小型宇宙船『スターチップ』が運ぶ夢とロマン

レーザー推力で進む切手サイズの宇宙船

お隣の恒星系まで旅する超小型探査機の名前は『ナノクラフト(Nanocraft)』

超小型宇宙船『スターチップ(StarChip)』に、超軽量薄型の帆がついている探査機です。地球上に設置された広大なレーザー発振設備から照射されるレーザー光線を帆に受けて加速します。

宇宙空間に打ち上げられたナノクラフトが、地上からレーザーを受けて発振するイメージアニメーションが公開されています。

Breakthrough Starshot Animation


わずか数グラムの超小型宇宙船(だから“チップ”!?)は、だいたい切手くらいのサイズになるそうです。小さくても、カメラ、プロセッサ、電源、ナビゲーション、通信等のシステムが内蔵されています。

『ライトセイル(Lightsail)』と呼ばれる帆は、わずか原子数百個分の厚さしかなく、数メートルの長さの帆に、100gWを超えるレーザー光線の照射を受けると、約2分で光速の20%まで加速できるそうです。

宇宙船は超小型ですが、レーザー発射する地上の設備『ライトブーマー(Light Beamer)』は、数キロメートル四方に及ぶ巨大なもので、高地に建造する計画です。

壮大な構想は、決してお金持ちの夢物語じゃない

なんだかあまりに壮大な夢物語のような構想です。極小サイズのスターチップや超軽量薄型でも強靭なライトセイルの開発だってこれから、ライトブーマーの建設予定地も未定です。

それでも、関係者は40年後の実現を信じています。

スターチップはきっとアルファ星に到達するまでの道中でも、多くの膨大なデータを収集するでしょう。太陽系の惑星や衛星についてもたくさんのことが解明されると思われます。もしかしたら、なんらかの宇宙生命の存在が見つかるかもしれません。

40年の間には、日本にも世界にも、まだ何回か大きな自然災害が起きるでしょうが、何度被災しても、きっと復興を果たし、みんなで元気に宇宙のお隣さんからのメッセージを受信したいです。

できれば、フクイチの廃炉が予定通り終了しているといいなぁ・・・。

まさケロンのひとこと

宇宙まだまだ謎いっぱいだし、地球のあらゆる天災だって防げるようになるかもしれないよね。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。