育児・子育て

お気に入りが手放せない!ブランケット症候群の猫が切ない・・・

Written by すずき大和

小さな子供が、毛布やタオル、ぬいぐるみなどを常に肌身離さず持って歩く、という姿は、国や時代を問わず、よく見かけられる現象です。

毛布なりタオルなりなら何でもいいわけではなく、たったひとつのお気に入りの何かを、どんなにボロボロになっていても、新品の代品と交換しようとしても目もくれず、ただそれだけに執着して手放しません。無理に取りあげようとすると、激しく嫌がり、パニック症状をおこす子も多いです。

アメリカのコミック「ピーナッツ」(スヌーピーの漫画)に登場する「ライナス」という名の男の子が、古ぼけた水色の毛布を抱きしめている絵を思い出す人もいるかもしれません。

ライナスの毛布は、ピーナッツ本の和訳では

「安心毛布」

と呼んでいました。

これはそのまま、この現象を指す心理学用語になっています。最近は、

「ブランケット症候群」

と呼んで解説している育児書なども多いです。

“症候群”といっても、決して病気ではありません。赤ちゃんから子供へ、母親と密着していた日常から、だんだん外の世界へ適応しようとする成長過程の子供に普通に見られる、心配する必要のない自然な現象です。



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安心毛布はなぜ安心?

ブランケット症候群の原因は?

ブランケット症候群は、心に強い不安や失望感などがある時、それが大きなストレスとなって心身をむしばんでいくのを防ぐための自己防衛反応のひとつです。慣れ親しんで安心できるものを連想させる匂いや感触のあるものなどをそばに置くことで、安心感を疑似体験して、ストレスを和らげようとする行動です。

赤ちゃんは、最初は泣くだけで周りの人がすべての欲求を満たしてくれたのに、歩いたりしゃべったりできるようになると、我慢させられたり、叱られたりすることが増えていきます。

だんだん、世の中何でも自分の思うようにはならないとわかるようになります。べったりいつもそばにいてくれた親と離れて過ごす時間も増え、それまでの世界が無くなってしまうような寂しさや不安でいっぱいになります。

が、新しい外界の情報への好奇心も抑えられず、ストレスは日々増えていく一方です。そんな中、親の匂いがついたタオルやぬいぐるみなどにしがみつくことで、不安な気持ちを癒そうとしているのです。

幼児だけじゃない

赤ちゃんから子供への過渡期に見られるブランケット症候群は、時がたって子供が心身共に発達する過程で自然に治まります。安心毛布卒業が簡単にできる子も、できない子もいますが、心配いりません。

精神的にストレスを抱えやすいタイプの子は、一度卒業してからも、心に強い不安がある時に、再び物に依存する素ぶりを見せることもあります。

漫画のライナスは、哲学的に考えるのが好きなちょっとナイーブな男の子です。彼にはかなり強気でガミガミ屋の姉がいて、更に、理屈っぽい愚痴り屋さんの女の子に片思いされており、彼女は若干ストーカー気味に彼を追い回してアプローチをかけています。

ライナスくんが日常的に平穏な心境を保つためには、安心毛布がまだ必要なのでしょう。

彼だけでなく、大人になってからも、寝る時はお気に入りの抱き枕やぬいぐるみがないと眠れない!という人は、案外たくさんいます。これも、特定のものに執着することで、ストレスを緩和しようとする心の働きによるものです。

ぬいぐるみを抱きしめて離さない猫

飼い主と死に別れた老猫

2018年4月、アメリカのメリーランド州では、動物保護団体が運営する飼い主のいない猫などの保護施設に連れてこられた16歳の老猫が、常にお気に入りの猫のぬいぐるみを抱きしめ続けている、ということが話題になりました。猫も安心毛布を必要とするようです。

参照記事



手足の先だけ白い黒猫のフーニーは、とても飼い主に愛されて暮らしていました。しかし、突然その飼い主が亡くなり、残った遺族は猫アレルギーだったため、フーニーを動物保護施設に託すことにしました。

フーニーは、愛する飼い主と死別した喪失感や悲しみのためか、それまでお気に入りの遊び道具だった、自分と同じくらいの大きさの猫のぬいぐるみを、片時も離さず持ち歩くようになっていました。保護施設はこのぬいぐるみごとフーニーを温かく受け入れました。

人といっしょにいるのが大好き

施設内での猫たちの行動範囲は比較的自由にされていましたが、フーニーは、常に人がいるスタッフのオフィスで、ボロボロのぬいぐるみと共にくつろぐことを好んでいるそうです。誰も人がいないと、ニャゴニャゴと声を出して、ぬいぐるみに何かを話しかけることがあり、人が近づくと黙るといいます。

慣れてくると、スタッフに向かってもたまにニャゴニャゴ何かいうようになりました。フーニーは人が大好きなのだと、スタッフは考えています。そして飼い主さんを深く深く愛していたのだと。

飼い主を失い、長年暮してきた家も失ったフーニーが、ぬいぐるみを必死に抱える姿は、愛くるしく、切なく、多くの人の心を打っています。

スタッフの献身もあり、最近はぬいぐるみを横に置いて過ごす時間も長くなってきたというフーニー。少しでも早く傷ついた心を癒してくれますように。

まさケロンのひとこと

そういえばまさケロンも安心できるぬいぐるみ持ってるんだよね。ごりらのぬいぐるみ。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。