この食べ物は安全です
強制された「もったいない」
皆さん、給食にまつわる思い出はありますか?
「食育」という言葉をご存知だとおもいます。
給食は教室でクラスメートと一緒にご飯を食べる楽しい時間であると同時に「食べる」ということをテーマにした「教えの時間」でもあったわけです。
好き嫌いせずに何でも食べる、ということも大切な食にまつわる教えですね。
いまはアレルギーなどに配慮して、それほど厳しくないと聞きましたが、筆者が小学生だった当時、好き嫌いに関しては徹底的に指導されました。40年以上前の話です。
食べ残しに対しては絶対に許してもらえません。好き嫌いが激しかった筆者は、嫌いなものを完食するまで、食器をかたづけることが許されず、他のみんなが校庭で遊んでいる間も、器に残った玉ねぎとか肉の脂身といった苦手な食べものをにらみつつ、途方に暮れていました。
そんなことだったから給食に関して正直楽しい思い出がないのです。まあ好き嫌いせずなんでも食べられるに越したことはありません。でもちょっと残念な気がしています。
違い、説明できますか?
食に関する事柄で触れる機会が一番多いのが「消費期限」と「賞味期限」ではないでしょうか。どちらも、安全においしく食べることができる期限についての表示です。でもその違い、把握していますか?
それではここで改めて、それぞれについておさらいすることにしましょう。
まず「消費期限」から。
開封せず、指定された保存方法で保管した場合の「安全に食べることができる期限」です。
お弁当やサンドイッチ、おにぎりなど傷みやすい食品を中心とした表示となります。だいたい5日以内であることが多いようですね。「消費期限」を過ぎた物は食べてはいけません。
次に「賞味期限」
「品質を損ねることなく、美味しく食べることができる期限」です。
カップ麺、スナック菓子、缶詰など比較的長く保存できる食品を対象とした表示です。
これを過ぎたら即食べられません、というわけではなく、臭いや色などに異常がなければまだ食べることができます。
ただし「消費期限」同様、開封したり、メーカーが指定した保存方法で保管しなかった場合は、この限りではありません。期限に関係なく早めに食べましょう。
期限は必要だし、大切。だけれども…
光と影
「消費期限」と「賞味期限」を正しく理解することで、購入した食べ物を安全に活用することができます。
コンビニでレジに持っていったおにぎりが期限切れなどで、新しいものに交換してもらったという経験がある人も多いと思いますが、期限を設けることによって食中毒などの事故を未然に防ぐことができます。
ただ、残念なことにデメリットもあります。
食べることができない、
あるいは売ることができなくなった食べ物の廃棄。
その量が増加し「食品ロス」という問題を引き起こしているのです。
ひとり毎日お茶碗一杯分
日本国内の食品廃棄量は年間およそ2800万トン。このうち「食品ロス」と呼ばれている、期限を超えた食品や食べ残しといった本来なら食べられたはずの食品の廃棄についてはおよそ632万トンも占めているといわれています。
この数字は、世界中で飢饉に苦しむ人たちを対象とした食糧援助量の320万トン(2014年に国連WFPが発表したデータ)を超えています。数字だけではピンとこないかもしれません。政府広報によれば日本人一人当たり、毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てている計算になるそうです。
もったいないですよね。
食べられることへの感謝
「もったいないのは良く分かる。だからといって、消費期限、賞味期限を超えた食べものも捨てずに食べろというのか?」
もっともな話です。もちろん「期限など無視しろ」と言いたいわけではありません。
今の日本ではほとんどの人が飢えることは無いだろうし、それは今後も変わらないと思います。飢えるどころか食べ物が必要以上に巷にあふれている状況でしょう。
ただ、これに慣れてしまうと食べ物のありがたみが希薄になってしまう気がします。
「食べられることって有難いことなんだな」
という感謝の気持ちを思い出す必要があるのではないでしょうか?
そして「食品ロス」を少しでも減らすための工夫をしていきたいと思うのです。
知り合いの小学生に聞いた話なのですが、
給食については現在でも食べ残しはあまり良いこととはされていません。
ただし、苦手な食べ物がある場合は、あらかじめ少量にすることが許されていて、その子のクラスでは食べ残しはほぼ無いとのことでした。
家庭でも「消費期限」「賞味期限」をまめにチェックしたり、大量の買いだめを控えるなど工夫することで、本来食べられたはずの食品の廃棄量を減らすことができると思います。
食べられるのを当たり前だと思うのはよくないことだよね。感謝の気持ちを習慣にしよ。