久しぶりの病院は…
ご無沙汰してます
筆者はこれまで重い病気にかかったり、大きなケガをしたことがほとんどありません。そのため病院とはあまり縁のない生活を送ってきました。健康診断を除けば、おそらく2年以上、お世話になったことがないはずです。
ところが最近病院に行くことになり、そこでとても印象に残る光景を目撃したのです。
お尻と臀部
きっかけは「おでき」です。
少し前から、お尻におできができてしまいました。めんどくさいので放っておいたのですが、見るみるうちに大きくなり、膿がたまってしまったのです。
触れると痛みを伴います。それでも数日我慢していたのですが、日常生活に支障が出るようになったため、平日に半休をもらって、近所の総合病院で見てもらうことにしました。
初診なので、まず問診票に必要事項を記入します。
症状欄には、
「五百円玉ぐらいの大きさのおできがお尻にできて、膿がたまって触ると痛い」
と書きました。我ながら分かりやすく表現できたと思います。
ところが、何科で受診するか? を選択する欄で迷ってしまいました。
普通に考えれば「皮膚科」でしょう。でも、おできを切って膿を出すのであれば「形成外科」ということになります。
普段分からないことがあっても、自分で適当に判断してしまう筆者ですが、ここは慎重に事を進めたい。
受付の女性に相談すると、電話で確認を取ってくれました。その結果、まずは皮膚科で診断する、ということになったのです。
その際、女性が
「臀部に五百円玉大のしこりが出来て、膿みがたまっている状態」
と説明していたのを聞いて、
「なるほどお尻は臀部なんだな」
と納得し、改めて病院に来たことを実感しました。
プロフェッショナルということ
冷静に。不自然なぐらい冷静に。
皮膚科で診断してもらった結果、すぐに切除した方がよいということになり、形成外科へと移動しました。
そこで順番待ちをしていたときのことです。
男性がやってきて、
「妻が動けなくなってしまった」
と訴えました。
具合が悪くなったので、車に乗せて来たのだが、動けなくなってしまい、ここまで来ることが出来ないというのです。
筆者は、大丈夫なのだろうか?と、心配になりました。動けないということは、場合によっては命に関わるのではないか?
応対をしている女性は、黙って男性のはなしを聞いているのですが、まったくあせるようすはなく、パニくってしまっているのではないか? とさえ思うほどの落ち着きぶりなのです。
男性がしゃべり終わると、ようやく女性が口を開きました。
「意識はあるの? 受け答えは?」
意識はあり、受け答えもできる、と男性。
「車はどこに停めたの? 敷地内?」
入口の真正面、と男性が差す方向には軽自動車が停まっていました。
女性は集まってきた看護師たちに
「ストレッチャーを持って迎えにいって」
と指示し、すぐに電話をかけ始めました。
彼女の声は威圧的ではないのですが、凛としていて力強く、質問もシンプルで、答える側も無意識のうちに明確に答えてしまうような不思議なパワーを宿しているように思えました。
患者さんを乗せたストレッチャーが戻ってくると、受付の女性は付き添って、廊下の奥に進んでいきました。
プロが提供してくれたもの
筆者はこれを目撃して、心のそこから感動しました。涙が出そうになったほどです。
なぜならプロの仕事というものを見たからです。
この女性の冷静な態度、不自然さを感じるほどの落ち着きぶりは、プロとして患者の家族を不安にさせてはいけないという信念に基づいていると思うのです。男性の声が大きかったため、筆者以外にも多くの人がこの事態に注目していました。
もし彼女が慌ててしまっていたならば「この病院は大丈夫なのか」と思われてしまうことでしょう。
彼女が提供したものは、「安心感」なのです。
病院に勤務しているのだからこのようなケースは日常茶飯事なのかもしれません。
だとしても「私慣れてますから」という「変な余裕」をみじんも感じさせない対応でした。
だから安心できるのです。
この場を借りて、この素晴らしい対応をした女性と、そして過酷な状況で最善を尽くしているすべての医療従事者の方々にエールを送りたいと思います。
さて、筆者のお尻のおできですが、無事切除と除膿をしてもらい、すっかり良くなりました。
あ、訂正します。「臀部のしこり」でした。
落ち着いた対応は素人にはできないよな~。いつもありがとう!