今年もいよいよスギ花粉の飛散がピークになる季節に入りました。
いろいろな対策情報も飛び交う時季です。
それらを大きく分けると、マスクやゴーグルの装着奨励や効率的な掃除の仕方など
- 「花粉をシャットアウトするための方策」
- 「からだの免疫力を高めて抵抗力の強い体質にするためのアドバイス」
の情報に二分できます。
この免疫力を高めるというキーワード、本当にたくさんでてきます。
が、ちょっと待ってください。
そもそも花粉症って、本来なら無害な花粉に対して体の免疫反応が過剰に働き、異物(花粉)を外に追い出そうとして鼻水や涙が出てきてしまうアレルギー疾患です。
それって、“免疫力が強すぎる”ってことではないのでしょうか?更に免疫力を高めたら、余計悪化しないんですか?
免疫力が高いことと、免疫反応が異常なことは違う
まず、免疫機能というからだのしくみについて、もう一度整理してみましょう。
からだに危険なものを排除する働きが免疫機能
呼吸や食事などにより、人間は毎日たくさんのものをからだに取り込みます。
取り込んだもの(外から来たもの)を中にあったものと結びつけて役立てることで人は生きています。
しかし、外からくるものの中には、害になるものも一緒に入っています。
からだは、役に立つものはそのまま取り込んで、危険なものはやっつけたり追い出したりする働きを持っています。
そのやっつけるほうが免疫機能です。
免疫の仕事は、悪いものだけをちゃんと分別するところから始まります。
花粉に対して過剰反応する免疫は仕事能力が低いんです
アレルギーとは、悪くないものを悪いと判断してやっつけようとした結果、いろいろよくない症状につながってしまう病気です。
過剰反応という言葉が使われますが、これは免疫力が「強すぎ」というより「間違って」働いている状態です。
「花粉に過剰反応する」というのは免疫機能全般としては異常反応であり、力が強いとか弱いとかではないのです。
免疫力を高めるとは、乱れた免疫機能を正しく整えていくこと、と捉えてください。
免疫機能は働いていないと能力が落ちる?
免疫力が高い状態、低い状態について、もう少し具体的に考えてみましょう。
たくさんの雑菌と共存していた昔の日本
60年くらい前まで、日本人には花粉症の人はいませんでした。
外来種のブタクサはまだなく、杉の植林政策も進んでいなかったので、今の花粉症のアレルゲンは確かに少なかったです。
しかし、代わりに雑菌が繁殖する環境は今よりもはるかにたくさん周りにありました。
土埃や動物や昆虫の糞や死骸の粉末がいっぱい漂う空気の中で生活し、食器や風呂桶もほとんど木製でした。一方で、納豆や漬物、味噌・しょう油・麹・・・など発酵食品を今よりたくさん食べていました。
悪い雑菌も善玉菌も、毎日とってもたくさん取り込んで生活していました。
免疫機能がたくさん活躍している=免疫力が高い状態
からだに悪いものも、それとよく似たいいものも、たくさん摂っていたということは、免疫の仕事もものすごくたくさんあったということです。
大量の悪いものをピックアップして次々分別しながら、免疫は仕事の腕をあげていったと思われます。
経験値が高い分見分け能力も鋭く、たまたま花粉が入ってきても悪いものに間違えることは少なかったのです。
これが、免疫力が高いという状態なんです。
現代の免疫機能はキャリア不足?
何でもどこでも除菌が進み、土も川も家畜も身近にない現代人の周りには、あまりにも雑菌が少なく、免疫の経験値は低いままです。
昔は少なかった花粉の情報は遺伝子の中にもないので、いい悪いの判断には職人の鋭いカンが必要なのに、今の免疫は修行が足りていません。
花粉を悪いと判断して攻撃する間違いも起きやすいのです。
現在花粉症がこんなに昔より増えたのは、そんなところにも原因があったということです。
だからこそ、花粉症を予防したり緩和したりするためには、このあんまり優秀じゃない免疫機能を正常なものに戻す=弱まっている免疫力を高めることが大事です。
免疫機能を整えて、病気に負けないからだを作ろう
年をとってからだ全体の反応が鈍くなった人は、花粉症の症状も納まっていくそうです。
これは、免疫反応も鈍くなっていくためです。
しかし、だからといって
ということにはなりません。
これだと、他の本当にからだに悪い病原菌などが入ってきてもやっつけられないですから。
免疫力を高めることは、アレルギーになりにくくするだけではなく、他の病気にも負けない健康なからだ、健康な人生を作ることなんですね。
60年前は、日本に花粉症の人っておらんかってんなぁ~
花粉症の症状を出さないためには、アレルゲンを減らすのが手っ取り早そうやね