今年もやってきました、桜の季節。
一斉に咲くソメイヨシノの並木の風景は、意外と戦後に広まったものなんですが、伝統的な「日本の心」の象徴のように感じている日本人がたくさんいます。
そして、この時季の手土産といえば、やはり「桜餅」です。
関東の桜餅の始まり
2種類の桜餅「道明寺」と「長命寺」
和菓子の桜餅とは、塩漬けの桜の葉に巻かれた、あんこ餅のことですが、
- ブツブツであんこが内側のピンクのおはぎのような「道明寺」
- クレープのような薄い皮でこしあんをくるっと巻いた「長命寺」
の二種類があるのは、皆さんよくご存知ですね。
元祖お江戸の桜餅は長命寺
長命寺の桜餅は、江戸時代、向島にある長命寺の門前で売られたのが始まりです。
あっという間に評判になり、周辺の他の和菓子屋さんにも「桜餅」の名で広まっていきました。
昭和の頃までは、首都圏ではやはり桜餅のスタンダードはこちらのタイプでした。
1980年代に急速に増えたコンビニなど、全国展開の小売店では、関西風の道明寺餅を桜餅として販売する店が多く、関東にも徐々に広まっていきました。
道明寺のほうが、日持ちがするので、工場製品が配送されるチェーン店の小売店舗では好まれたようです。
長命寺タイプも売るチェーン店は少なかったので、いつの間にか、東京の店頭ですら桜餅といえば道明寺が主流になりました。
最近では、わざわざ「関東風の」桜餅と呼ばれることも多いです。
桜餅をうちで作ってみよう
そんな貴重な長命寺の桜餅、市販のあんこを利用すると、家庭のホットプレートで簡単に作れます(あんこ作れる人はもちろん自家製でどうぞ)。
桜の葉のよい香りがたちこめるキッチンで、お子さんやお友だちと一緒に手作りしてみるのも楽しそうです。
材料
砂糖:20~40g(お好みで)
水:75cc
薄力粉:60g
赤い食品用着色料:少々
調整用の水:適量
サラダ油:少々
桜の葉の塩漬け:10枚
小豆のこしあん:200g
これで『10個分』です。
あんこがパンパンにいっぱいが良い人はもっと多く、ちょびっとで皮が多い方が好きな人はもっと少なくしてください。
皮の砂糖は、あんこの量によって甘さを調節してください。
『あんこが多い時は、皮の甘さは弱めに』しましょう。
作り方
[準備]
- 桜の葉は表面の塩を洗って、水気を拭いておく。
- あんこは10等分してまるめておく。
- 小麦粉はボールにふるっておく。
[タネつくり]
- 白玉粉と水を混ぜ、ブツブツが全部溶けるまで混ぜる。
- 砂糖を入れ、溶けるまでよく混ぜる。
- 小麦粉のボールに白玉と砂糖の水を少しずつ入れながら、だまにならないよう混ぜる。
- 着色料をほんのちょっと入れて混ぜ、薄いピンク色にする。
粉類と水を一度に混ぜると、ダマになりやすいです。
面倒臭がらず、『まず白玉粉と水から混ぜる』のがポイントです。
ドレッシングを作る時のような、小さい泡だて器があると混ぜやすいです。
[焼く]
- ホットプレートを130度くらいに暖める。
- サラダ油を薄く塗り、お玉でタネを薄く楕円形に広げて焼く。
- 表面が乾いたら焼き上がり。裏は焼かずにザルなどに並べて冷ます。
ホットプレートではなく『フライパンを使う場合は弱火で』焼きます。
タネがもったりしてあまり薄く広がらない時は、『調整用の水』で適当に緩めてください。
[仕上げ]
- 冷めたら焼いた面を表にして、のり巻きのようにあんこの玉を巻く。
- 最後に桜の葉をくるっと巻いて、出来上がり。
まとめ
タネを焼く時、上手に均一の大きさや形にならなくても、あまり気にしないでやりましょう。巻いてしまえば多少の形の悪さはわかりません。
タネが固めの時は、ちょっと厚みのあるモチモチ感の強い桜餅になります。厚い時は、裏側もさっと炙るくらいに焼きましょう。
出来上がったら竹製のお弁当箱に天ぷら敷紙などをひいて並べると、ぐっとお花見の雰囲気が高まります。
形よく作れるようになったら、訪問時のおつかいものにしてもおしゃれです。作った人の株が上がること間違いなし!
道具もそんなに使わず、後片付けも楽です。お菓子作りやったことが無い人も、ぜひ気軽にトライして、一味違った春を楽しんでみてください。
関東風の桜餅はクレープみたいな薄い皮でこしあんをくるっと巻いてあるんだ。「長明寺」の桜餅といえばこれ!
雰囲気までこだわっておしゃれなおつかいものを!