US版ハフィントンポストの2016年2月1日掲載記事で、アメリカ・クレアモント大学院の神経学者ポール・ザック博士による犬と猫に関する研究結果が発表されました。
飼い犬・飼い猫の血液中の神経伝達物質を測定した結果、
- 犬も猫も飼い主に対し、愛情を抱いている
- 猫よりも犬のほうが強く飼い主を愛している
ということが、科学的に証明されたそうです。
哺乳類が分泌している愛情ホルモン
哺乳類が親子の絆を結ぶために分泌されるホルモン
「愛情」とは、誰かのことを気にかけて大切に思う気持ちです。
記事によれば、哺乳類は相手に愛情を感じた時に、脳内で「オキシトシン」という神経伝達物質(ホルモン)を生成します。これは、主に母親と子供の間に親密な絆を作るために働く生理機能です。
ザック博士によると、
- 人間は心地よく感じたり楽しい体験をしたりした時にオキシトシンを分泌する
- その量は、どれだけストレスを感じていたかで決まる
とのことです。
オキシントンの分泌量を血液中のレベルで計ると、一般的に
- 見知らぬ人と楽しく交流した時 15~25%
- 知り合いと交流した時 25~50%
- 愛する人と一緒の場合 50%以上
になるそうです。
犬と猫による実験
ザック教授は、3年ほど前から、飼い犬・飼い猫についての研究を進めており、今回の実験では、10匹の猫と10匹の犬と飼い主に一緒に遊んでもらいました。そして、遊ぶ前と遊んだ後、猫ちゃん・ワンちゃんたちの血液検査をして、血中のオキシトシンレベルを調べました。
犬たちは、飼い主と遊んだことで、平均57.2%のオキシトシンを分泌していました。
一方猫たちは、半分の被験者(猫)ではオキシトシンの分泌は検出されず、平均すると12%しか分泌されていない、という結果でした。
ペットは飼い主の人間を愛している
猫は薄情なのか?
実験の結果から、
「犬は飼い主をとても愛している」
ということがわかります。
が、一方
「猫は、あまり愛情を感じないのか?」
というと、実際はそういうわけではないようです。
猫は犬より社交的ではなく、過ごす場所への執着(縄張り意識)が強い動物であるため、実験室の慣れない環境に、犬以上に大きなストレスを感じていたため、オキシトシンの分泌が妨げられていた可能性があると、ザック博士は分析しています。そして、自宅で実験していれば、猫はもっとオキシトシンを分泌したと考えているそうです。
異種の生き物に対して愛をかんじることのすばらしさ
犬も猫も、飼い主に対して、自分の子供に抱くのと同じように愛情を感じている、ということです。
ザック博士は、今回の犬の「57.2%」というハイレベルな分泌量に感銘しています。
「犬は飼い主をとても愛しています。なかでも注目すべきなのは、犬が仲間の犬にではなく別の種である人間に対してオキシトシンを分泌している点です。犬たちの脳が、異種の人間を愛しているといっているのです。とても信じられないすごいことです」
と、ハフポスUS版の取材に対して述べています。
ペットの純粋な愛を裏切らないで
日本では、毎年何万匹もの犬・猫たちが保健所等で殺処分されています。多くが、一度は人間に飼われながら、何らかの理由で手放された子たちです。
ブリーダーによる商業目的の繁殖やペットの販売が許されている日本では、繁殖のためだけに生きながらえさせられている母犬・母猫たちの虐待的状況が、動物愛護の視点で海外からも非難されています。
より小さいうちのほうが商品価値は上がるため、まだ母親や兄弟たちと共に育ちながら、生きるためのスペックを身につけなければいけない時期に、既に親から離され、性格形成に問題が生じる子たちもいます。
小売り店で売れ残った子も処分に回されています。保健所にいる犬猫たちが新しい家族に引き取られていく割合も、とても少ないです。
犬も猫も、こんなにも人間を大切に思ってくれる動物なのに、彼らの信頼や愛を、人間社会はいとも簡単に裏切っているのかもしれません。
ペットはあなたが責任をもって面倒みるべき家族です。彼らの愛に、どうぞ真摯に答えてあげられる飼い主さんであってください。
人は犬を愛し、犬も人を愛してる。ちゃんと両思いなのが嬉しいよね。