健康・医療の豆知識

コーヒー好きは遺伝子のせい?カフェイン摂取量の個人差の原因

Written by すずき大和

ひと昔前、コーヒーは、

  • 「胃に負担をかける」
  • 「発がん性がある」

などとささやかれ、

“本当はからだにはあまり良くない”

というイメージがなんとなくありました。

が、近年研究が進み、悪い噂の多くが根拠のないものであることが証明され、なおかつその「効能」が大きく見直されるようになりました。

特に、“からだに悪い原因”といわれてきた成分「カフェイン」については、

“眠気を覚まして、士気を高め、身体能力もあげる”

と、そのメリットが高く評価されており、カフェインを主成分とした「エナジードリンク」のブームなどにつながりました。



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注目されるカフェインの効能

コーヒーはからだに良い飲み物

現在わかっているカフェインの効能としては、次のようなものが主にあげられます。

  • 眠気が吹き飛び、集中力や記憶力が高まる
  • 呼吸機能や運動機能が高まる
  • 心臓、腎臓、消化器などの機能が高まる
  • 疲労回復が早まる

ハードな日常を生きる現代人にとって、カフェインのシャッキリ効果が癖になるケースが多いようで、コンビニやFFも含めてここ10年くらいのカフェブームを支えています。

実際、コーヒーをよく飲む人の方が飲まない人よりも疾病罹患の確率が低かった、などのデータも出ており、最近ではすっかり

“コーヒーは健康促進効果のあるからだに良い飲み物”

と認識されるようになってきました。

エスカレートしていくカフェイン依存の危険

一方で、カフェインには中毒性があり、常用者の中には、だんだんとより強い刺激を欲するようになっていく人もいます。

しかし、一定以上の過度な摂取は心拍数や血圧を高め過ぎ、時には命の危険にも至る場合があります。日本では、エナジードリンクブームの中、連日多量に常習していた男性が、カフェイン中毒で死亡するという事例も起きています。

致死量の半分のカフェイン入りコーヒー

オーストラリアのアデレードにあるViscous Coffeeでは、2016年現在

「Asskicker」

という名の超~ド級にカフェインを高めたコーヒーが売られているそうです。
(ass kickerは、嫌な奴を影で悪くいう時のスラング。直訳すると「尻蹴り?」)

通常、エスプレッソ1杯に含まれるカフェインは60mgくらいですが、Asskickerにはその約80倍の5gが含まれています。これは、致死量の約半分にあたります。

お店の人の話では、救急病棟の看護師からの、

「何が起こるかわからない夜勤をしっかり起きつづけるための飲料が欲しい」

というリクエストに応えるために開発したそうです。

5gのカフェインを摂取すると、その後12~18時間にわたって強い覚醒作用を発揮します。この看護師さんは、2日日間かけてこのコーヒーを飲み、3日間の徹夜勤務をほとんど起きたままこなしています。

挑戦のつもりで注文しようと、Asskickerを買いに、店に若者らが集まってきているそうです。店では

「4時間以上かけてゆっくり飲まないと危険!」

という警告と共に販売していますが、

「あまりに美味しいので、4時間もかけて飲むのは難しい」

との噂も聞こえています。

オーストラリア人の“自己責任概念”ハンパないですね!?

カフェイン耐性は、遺伝子で決まる

コーヒー飲みたくてたまらない人とそうでない人

ところで、毎日コーヒーを飲むことを習慣としているのに、飲む量がだんだん増えていくことも、もっとカフェインの強いコーヒーが飲みたくなることもなく、ずっと毎日数杯のコーヒーを飲んで満足できている人もいます。

好き嫌いや、相性・体質の個人差だろうと、漠然と思われてきましたが、最近、英エディンバラ大学の研究者らによって行われた実験の結果、

“どれくらいの量のコーヒーを飲むかは、遺伝子によって決まる可能性がある”

ということが明らかになりました。

電子ジャーナル「Scientific Reports」に発表された論文によると、

『PDSS2』

という遺伝子の変異体をもつ人は、1日に摂取するコーヒーの量が少なめでした。

遺伝子とコーヒーを飲みたくなる衝動の関係

実験は、最初イタリア人1300人余りを対象に、DNA解析を行い、あわせてコーヒーの消費量について答えてもらいました。結果、PDSS2遺伝子の変異体を持つ人は、そうでない人に比べると、平均してだいたいカップ1杯分コーヒーを飲んでいませんでした。

研究チームは、続けてオランダ人1700人余りでも同じ調査を行いました。結果は同じくPDSS2遺伝子の変異体を持つ人は、そうでない人よりコーヒーの摂取量が少ない、ということがわかりました。

研究チームを率いたエディンバラ大学のニコラ・ピラツ博士は、

「コーヒーを飲みたいという衝動は、遺伝子に組み込まれている可能性が高い」

といっています。

PDSS2変異体の人は、カフェインの効能が長続きする傾向があり、少ない量でも満足できてしまうのではないか、と推察されるそうです。

ただし、まだサンプル数が少ないため、遺伝子とコーヒー摂取量の関係を裏付けるには、もっと大規模な調査を実施する必要があるとのことです。

エナジードリンクにはまってしまった類の皆さん、コーヒーもよく飲まれるようなら、もしかしたら、PDSS2遺伝子は通常パターンなのかもしれません。量がどんどん増えないようお気をつけください。

また、1、2杯で満足する人は変異体遺伝子かもしれません。効き目が長持ちするタイプなら、通常遺伝子の人と同じ量のカフェインでも摂りすぎになる可能性もあるので、やはりいつもよりたくさん飲み過ぎないように・・・。

まさケロンのひとこと

なんか人と違うんだよな〜おかしいんだよな〜って人は一度遺伝子検査してみるのもアリかも。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。