食の豆知識

遺伝子操作の新技術「ゲノム編集」でできた作物、食べても安全?

Written by すずき大和

加工食品の表示で、

「遺伝子組み換え○○は使われておりません」

という言葉が書かれているのをよく見かけます。

遺伝子操作技術が世の中に出現して久しいです。

日本でも、遺伝子組み換え食品等の規制措置を定めた法律が定められ、2016年12月現在、8作物309品目の遺伝子組み換え食品の販売・流通が認められています。

とはいえ、日本の消費者は遺伝子組み換え食品に強く反発する傾向があり、食品メーカーは自主的にそんな表示をしているのです。

しかし、時代は既に遺伝子組み換えの次の段階に進みつつあります。

2015年頃から、科学系の記事で

「ゲノム編集」

という言葉を頻繁に見かけるようになりました。これは従来の遺伝子組み換えとはまた違う、新たな遺伝子操作技術です。ここ数年、世界中で研究と試験が進められてきました。

2017年1月、ニューヨーク・タイムズに、いよいよ実用化・商品化の段階が目前となったことを伝える記事 が出て、話題になっています。



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「ゲノム編集」と「遺伝子組み換え」は何が違う?

遺伝子操作って何だ?

遺伝子組み換えも、ゲノム編集も、遺伝子の一部の並びを置き換えることで、ゲノム(遺伝子情報)を操作し、より有益な生物を作り出そう、という技術です。

食料生産分野では、

  • 過酷な環境でも育つ、害虫や病気にも強い、除草剤をかけても枯れない、などの作物
  • 少ない飼料でより肉付きがよい、脂肪が少ない肉質になる、などの家畜

を作ることで、

  • 低コストで効率的な生産を可能にする
  • 農薬や化学肥料、加工の際の添加物などを減らす

という目的を持って導入されています。

早くて精度の高い遺伝子操作

従来の遺伝子組み換え技術は、外部から他の遺伝子を組み込む、という方法で行われてきました。しかし。特定の遺伝子を正確に定めて置き換えすることができませんでした。

何度も試験を重ねながら、望ましい特性を持ち、安定的に栽培・繁殖できる品種を開発するのは、とても時間とコストがかかりました。

2012年に実用化された新技術

「CRISPR/Cas9(クリスパーキャスナイン)」

は、これらの遺伝子組み換え技術の問題を飛躍的に解決するものでした。

クリスパーキャスナインを用いる操作の注目すべき特徴は2点です。

  1. 従来の数千倍の精度で、特定の狙った遺伝子を置き換えられる
  2. 外部から別の遺伝子を入れることなく、遺伝子の並びを変異させる

具体的には、DNA切断酵素を使って、狙った箇所のDNAに切れ込みを入れ、その部分の遺伝子を破壊します。すると、切断されたDNAは自らの修復メカニズムを働かせます。その時、新たな遺伝子の並びに変異するように修復させる、という技術です。

ザ・エコノミスト(イギリスの新聞)に出た記事のイメージイラストです。


これはいわば、人工的に遺伝子の突然変異を促すようなものです。

望む形に自在に変異させることはできませんが、引き起こされた変異の中で、望ましいものを残すことで、意図した機能の品種にたどり着くまでの時間は、遺伝子組み換え操作よりはるかに早くなりました。

どれがゲノム編集された食品かわからない!?

遺伝子操作の問題点

遺伝子操作には、予期せぬ変なもの、危険なものが生まれてしまう変異(オフターゲット変異)が起きるリスクが、どうしてもついて回ります。

また、喫緊の危険はなくとも、自然界に存在しえなかったものが長期間を経て、環境や生態系に重大な影響を与えてしまった例は、環境ホルモンなど、過去にも複数見られます。

これらの事態を避けるため、従来の遺伝子組み換えに関しては、

  • 安全性の検証を徹底的に行う
  • 遺伝子組み換え植物や動物が、環境に放出されないよう管理する

この2点を厳しく規制することが、国際条約で決められています。

しかし、ゲノム編集については、欧米社会では厳しい規制はしない方針で議論が進んでいます。ゲノム編集の原理は自然界で起きる突然変異と変わらず、別の遺伝子を組み込んでいるわけではないので安全、との考えです。

日本もアメリカの方針に追従する方向です。数年後、ゲノム編集食品が市場に出回る公算は極めて大きいと思われます。

そして、遺伝子組み換え食品よりも更に規制が緩まるということは、

“ゲノム編集されたものかどうか表示されずに販売されるものがたくさん出てくる”

ことも考えられます。

今後の展望

医療の進歩や、地球規模の食糧不足解決のためには、ゲノム編集を取り入れた開発は、不可避かもしれません。経済的にも、乗り遅れると取り残される可能性が高いです。

経済界の以降が政策に反映されやすい日本の現状を考えると、ゲノム編集食品認可の流れは止められそうにありません。

遺伝子操作に対する日本の消費者の抵抗感は他国と比べても突出して大きいです。

  • 科学的検証をどんなにしても、100%の安全を保障することは難しいです。
  • 倫理的な観点から、遺伝子操作を受け入れられない人もたくさんいます。
  • 未知のものをいたずらにこわがり、感情的に拒否反応を示す人もいます。

これらの人を納得させるため、丁寧な説明をしてくれる政府であるかどうかは、今後の皆さんの政権の選択次第ではあります。

が、何にしても、推進派も慎重派も、深く関心を持たれる人は、御用マスコミが流す情報以外に、積極的に真実を探す情報リテラシー能力を磨くことが大事になってきそうです。

まさケロンのひとこと

まさケロンは楽観的だから、遺伝子組み換えが100%安全じゃなくたって、遺伝子組換えじゃないものも別の理由で100%安全とはいえないわけだし、まぁ細かいこと気にしないでいっかなーって思ってるんだけどね!

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。