未来創造

脳紋て何?生態認証の発達でパスワードいらずの未来が来る!?

Written by すずき大和

イマドキ、ITを活用しようと思うと、いろいろな所に「会員登録」してログインする機会が増えます。ネットに個人情報を登録すると、ほぼ必然的に

「パスワードの設定」

を求められます。が、セキュリティのためには、同じパスワードの使いまわしはいけないといわれています。特に金融関係の登録は、3か月ごとにパスワードを変えたほうがいいとか・・・・。

でも、そんなに無限大にパスワード覚えられません!!

と、思っている人、たくさんいますよね。

指紋や瞳の虹彩を登録しておいて、それでロックを解除する「生態認証」技術は、セキュリティの面からも、今後パスワードや暗証番号での認証手続きに取って変わっていくものだといわれています。



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生態認証は暗証番号より安全

指紋や虹彩は盗まれない?

様々な企業や自治体で、「個人情報漏洩」トラブルが起きる昨今、パスワードや暗証番号がひとたび盗まれると、いろいろな漏洩個人情報と照らし合わせて、もっと詳細な個人情報や、財産などが盗まれたり、不正なことに関与させられたりする危険性があります。

パスワードや暗証番号と違い、生態認証は他人が盗んでなりすまし使用しにくいものです。

が、他人の指紋や虹彩、声紋、手のひらの静脈などの情報は、知ろうと思えば、様々な方法で入手でき、複製して偽装することも技術的に可能です。

これらの問題を解決するために、更に新たな生態認証技術が、日々研究・開拓されています。

飲むパスワード、肌に埋め込むパスワード

海外では、パスワード情報をチップのようなものに登録し、飲みこんだり皮膚に埋め込んだりする技術の実用化に向けて、日々研究が進んでいます。

体外からセンサーを当てることで情報を読み込み認証する方法だけでなく、体内から心電図のようなシグナルを発生させ、携帯やPCや電化製品に触ると、本人だと認証されるしくみも開発されているそうです。

このように体の中や表面にデータを埋め込む方法は、チップを取り出さない限り、複製して代用することはできません。

が、少し前に、アメリカで、死者のスマホのロック解除のために、警官が遺体安置所にやってきて、遺族の許可もなく遺体の指をあて指紋認証しようとした、ということが起きました。

死んでしまった人の人権は守られなくてもいいのか?

という倫理的な問題からニュースになったのですが、もうひとつわかることは、からだを近づけると解除されてしまうロックは、本人の意思に反してからだに“近づけられて”しまったら、セキュリティにならない、という事実でした。

脳の働かせ方の違いで個人を区別する

脳の働かせ方は、人それぞれ違う

近年、脳の研究分野では、同じことを考えて処理する場合でも、脳のどこをどう使って考えるかは、人によって全く違うことが、様々な検証によってわかってきました。

脳のどこがどう働くかは、脳内で発生する微細な電気の流れを測定することで知ることができます。

ある研究では、質問に答えたり、意図的にリラックスしたりするなど、特定のタスクを行う時の脳内の電気活動を測定すると、その違いから、98%正確に個人を識別することができました。

この精度は、指紋認証にかなり近い数字でした。

脳紋で個人認証できるとこんなに安全

この脳の電気活動の“癖”のようなものは、

「脳紋(のうもん)」(brainprint)

というそうです。脳紋を正確に測定できれば、個人認証の方法として最適です。

指紋認証の場合、データが盗まれた場合、新しい指紋に取り換えることはできません。一度盗まれたら、もう使えなくなってしまう認証方法です。

が、脳紋の場合、別のことを考える時の脳紋を登録しなおすことができます。

また、誰かに強要されて考えさせられるような場合、脳に余計なストレスが掛かって、脳紋が正しく認識されなくなります。振り込め詐欺で誘導されるなど、自発的な意思で考えてない時、もちろん眠っている時や死んでしまった後も、認証不可能です。

測定にはまだ難あり

残念ながら、現在は、まだ実用的な測定方法の開発が途上です。

従来、脳の電気活動を測定するにはMRIや、ゼリーが塗られた電極付きのキャップを被る脳波計を使うやり方ありますが、どちらもあまりに面倒すぎます。

が、最近、表面に電極が組み込まれたイヤホン型の測定器を耳に入れることで、脳紋を測定する技術が開発されました。

イヤホンを装着して、特定の質問に答えるなどすれば、個人特有の脳紋を識別することが可能になりました。

但し、双子の場合はほとんど同じ脳紋になるので、個人認証は難しいそうです。

また、脳紋は長期間同じではなく、経験を積む中で変わってくるため、短いスパンで測定・登録を繰り返し、常に最新の情報にしておかないといけません。しょっちゅう脳紋測定しないといけない手間より、パスワード覚えるほうが、今のところまだずっと楽です。

この不安定な脳紋を安定的に識別できる方法が開発されれば、脳紋による個人認証が実用化される日は近いでしょう。が、人の心は簡単に揺れるものですから、安定的な脳紋の測定のハードルはまだまだ高そうです。

まさケロンのひとこと

これが実用化された時のスパイ映画の突破方法が今からもう気になってしょうがないよ。

masakeron-love


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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。