6月といえば、日本では
梅雨の時季
というイメージです。
最近は梅雨入りも梅雨明けも遅くなる年が多く、梅雨期間の割合は7月のほうが長い時もあります。
春や秋の長雨や、真夏のゲリラ豪雨など、梅雨に限らず雨の多い時季が分散してあるような気もします。
歳時記の記録を見ても、案外昔から日本にはいろいろな雨の時季とそれを表わす言葉がありました。
梅雨の表現もいろいろ
旧暦の梅雨は5月だった
梅雨の語源は、梅の実の時季に降る雨だからとか、毎日降る雨の毎の字が梅に転じたとか、いろいろあります。
中国語でも梅雨と言いますが、これは黴雨(カビの雨の意)だったものが、音だけとって梅雨に字を変えたと言われます。
旧暦の時代は梅雨の季節は5月だったので、五月雨というのはもともと梅雨の雨のことでした。
五月雨式という言葉も、梅雨の雨の様にだらだらと長く続く状態を表わしています。
五月晴れとは
の意味でしたが、最近では今の暦の5月の晴れた日の意味で使われることが多くなっています。
地域性のある呼び名
梅雨の期間が本州より早めな沖縄では、二十四節気でいうと小満(5/21頃)から芒種(6/21頃まで)の時期に梅雨になることが多いため、
小満芒種(沖縄の発音はスーマンボースー)
や
芒種雨(ボースーアミ)
とも呼ばれています。
麦の収穫期が梅雨になる産地では麦雨という呼び名もあります。
梅雨がないとされる北海道でも、たまに東北に長く梅雨前線が留まると、影響で肌寒い天気が続くことがあります。
これをリラ冷えとか蝦夷(えぞ)梅雨と呼びますが、気象庁ではこれは梅雨には入れていません。
また、気象学的には梅雨前線は
アジアンモンスーン
の一部と分類されています。
降り方によるいろいろな呼び名
しとしと降る雨が長く続くような梅雨を陰性の梅雨、夕立のように激しく大量に降る日と降らずに晴れる日がはっきりしている梅雨は陽性の梅雨と表現する人もいます。
梅雨明け間近に激しい降りになる雨を
- 荒梅雨
- 暴れ梅雨
雷雨になると送り梅雨と呼びます。
降雨量が少ない年は空梅雨ですね。
梅雨じゃない時季の梅雨
春の雨期
丁度、小学生の春休みの頃に連続して降る雨を菜種梅雨と言います。
夏のように激しい夕立のような降りにはなりませんが、春めいてきた気候を寒さへ押し戻すような雨です。
桜の開花を遅らせたり、咲いた花を散らせたりする雨にもなりがちです。
初夏の雨期
本格的に梅雨入りする前の5月半ば頃に、高気圧の配置はまだ梅雨前線の形を作っていないのに、早くも梅雨のように雨が続いてしまうことがあります。
走り梅雨とか迎え梅雨と呼ばれます。
連続する五月雨のことです。
俳句の季語として卯の花腐し(うのはなくたし)という言葉もあります。
卯の花の咲く時期に花を腐らせるように降る雨、という意味です。
秋の雨期
8月後半から10月頃にかけて続く秋の長雨のことは、秋霖(しゅうりん)またはすすき梅雨とも言います。
梅雨前線が北海道の北へ抜けずに、ずっと東北あたりで留まってしまった年に、そのまま秋雨前線として南下していくこともあります。
秋の長雨は梅雨と違って、北海道でもおこり、また、中国や東南アジアにはない日本周辺のみで見られる現象です。
冬の雨期
冬季は逆に雨が極端に少なく、異常乾燥注意報などが出やすい日本ですが、冬の始まりの頃、11月下旬から12月に雨が続くことがまれにあります。
丁度さざんかの花が咲き始める時季なので
さざんか梅雨
とも呼ばれます。
こうして見ると、日本は雨の時期が実に多い国です。
最近は台風の接近が多い年が話題になったり、ゲリラ豪雨と呼ばれる激しすぎる夏の夕立が都市部に冠水を招くこともしばしばニュースになっています。
水不足が続いても困りますが、極端に降り方が集中することの多い最近の天気、なんだか不安も感じます。
ほどほどの雨と日射の穏やかで温厚な気候の中で育まれてきた豊かな日本の自然が、これ以上異常気象で乱れていってほしくないですね。
日本って雨季が結構多い国なんやねぇ~
でも水不足になっても困るけど、降り過ぎってのも困るな。