梅雨も半ばとなりました。
まもなく暦の上では
半夏生(はんげしょう)
を迎えます。
半夏と呼ばれる草が生え出ずる頃、という意味で、だいたい7月2日頃になります。
梅雨後半に入るこの頃は、体調も崩しやすく、モノも痛みやすく、ここまで雨水をたくさん含んできた野山は、足元が崩れやすく、川も水かさが増して流れも速く・・・・
身の回りに危ない注意することがたくさんある時季となります。
危険をより回避できるよう、昔の人はいろいろな戒めを含んだ言い伝えを残しています。
半夏生は農作業の節目の日
半夏雨、半夏水、妖怪はんげ
半夏生を過ぎてくると、雨の降り方もしとしとではなく、夕立のような激しく集中的に降る雨が多くなります。
半夏生当日に降る雨は特に大雨になると言われ、
半夏雨
または
半夏水
と呼んで警戒を促しています。
鉄砲水や土砂崩れの心配も高まるので、夏に向けた主要な農作業は、この日までに終えておくよう戒める言葉が多くあります。
ということわざは、
という意味です。
青森県では、半夏生の後に田植えをすると、1日につきひと粒ずつ収穫が減ると言われています。
地方によっては半夏生期間(半夏生から5日間)の農作業は休みと決められており、三重県の一部ではこの期間は
妖怪はんげ
が徘徊すると言って、農作業に出ないよう戒める風習もありました。
天から毒気が降る日
半夏生当日は特に、家でじっとしていることを説くような言い伝えが各地にあります。
夏の収穫期を迎えるにあたり、神事に先だって身を清める物忌みのような意味もあったのかもしれません。
この日は天から毒気が降るとか、地面が陰毒を含んで毒草が生えると言われ、井戸にも蓋をし
埼玉県の一部の地域では、この日は竹の花が咲いたり消えたりし、それを見ると死ぬとされているので、竹林には行ってはいけない、という話が残っています。
疲れを癒し、夏に向けて体力を養う
鯖、玄米餅、小麦餅
西日本には、半夏生にちなんだ食習慣がいくつか見られます。
いずれも、ここまでの農作業の疲れをとり、夏の収穫期にむけて体力をつけるために食べられる物です。
福井県大野市
江戸時代に大野藩主が田植えの終わる半夏生の頃に農民に
焼き鯖
を振る舞ったという逸話があり、今も鯖を食べる風習が残っています。
奈良県香芝市
奈良県香芝市周辺の農家では、玄米の餅を作って食べていました。
奈良盆地で小麦栽培をしていた村では、半夏生までに田植えだけでなく、小麦の取り入れも終えるそうで、半夏生には小麦で餅を作って神様に備え、農民たちも食べて豊作を祈りました。
タコとうどん
関西地方では、蛸を食べる習慣が広範囲で見られます。
蛸には
- タウリン
- 亜鉛
などが豊富に含まれ、疲労回復や夏バテ防止に効果的です。
田に植えた稲の苗がたこの足のように大地にしっかりと根付くように、という願掛けもあるそうです。
近年、蛸研究会というところが半夏生の日を
蛸の日
に定めたため、生産・小売業界が消費を煽る宣伝を始め、少しずつ他地域の人にも認知されるようになってきました。
同じように、香川県讃岐地方では田植えや麦刈りが終わった労をねぎらうために、うどんを打って食べる風習がありました。
香川県製麺事業協同組合が
うどんの日
として制定し、以後、そば・うどん業界が宣伝しています。
冬至のかぼちゃほど、全国的に普及していませんが、蛸の日とうどんの日はポスターなどを見かけることが増えました。
蛸の食べ方については
- 甘露煮
- 柔らか煮
- 酢だこ
- てんぷらなど
関西でも地域によりいろいろ風習があるそうです。
農作業しない都会の人間も、夏に向けて体力作りは大事です。
せっかくなので、蛸もうどんも鯖も餅も、いろいろ進んでいただきたいですね。
半夏生にタコを食べるのは、小さい頃に聞いたことあるなぁ~
夏本番に向けて体力はつけとかんとアカンで!