秋の話題

ぎんなん拾いたい!でも臭いの処理苦手・・・どうしよう

Written by すずき大和

野菜の高騰が話題になっているこの頃、せっかくの食欲の秋ですが、秋の旬の味覚も値段を見るとなかなか手が出しにくいなぁ、と思っている皆さん多くないですか。

そんな中、都会の幹線道路沿いや、公園などに行くと、いっくらでも拾いたい放題になっている「ぎんなん」は、懐に優しく、それでも秋を満喫するぜいたく感を存分に味わえる貴重な食材です。

炒って塩振れば、オツな酒の肴になるし、鍋物や茶わん蒸しは料理自体に幸せ感があります。かきあげのタネに入れてもいいですね。

原宿の並木通りなど、この時期あちこちでぎんなん拾いする人の姿がローカルニュースにもなっています。が、あの実の臭いのキツさが苦手な人は少なくありません。

なんとか頑張って拾っても、あのクサクサ~のやつを台所で処理してベランダに干したりするのに、家族や隣の人からいや~な顔をされてしまうのが気が引ける・・・という人もいます。

手や部屋に臭いを付けずに、ぎんなん食べられるいい方法ってないでしょうか・・・。



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なんでぎんなんはあんなに臭いのか?

いちょうは古代から生き残ったサバイバー

ぎんなんというのは、いわずと知れた銀杏(いちょう)の木の実です。銀杏は、東京都をはじめ、自治体のシンボルツリーに指定されることも多く、整備された道路の街路樹としても非常に多く植えられています。おかげで都会の真ん中でもぎんなんが大量に収穫できるわけですが。

実が落ちると臭いや汚れのクレームも出やすい木です。が、街路樹や校庭・園庭・公園にもよく植えられる理由は、手入れが少なくて済む上に丈夫で長生きする木だからです。

銀杏は繁殖しやすく、害虫もあまり付きません。実の臭いは人間だけでなく、哺乳類全般に嫌われる系の臭いなので、野犬や野良猫なども寄り付きにくくなります。

なので、様々な時代の環境変化を経ても、長く生き残ってきました。銀杏は恐竜の時代からある「生きた化石」ともいわれる古代植物なのです。

食べられなかったことが生き残りの秘密

植物の中には、実を鳥などに食べてもらい、フンとして別の場所に種を運んでもらうことで繁栄してきたものもあります。

しかし、ぎんなんくらいの大きさのものを種ごと食べてしまうのは、それなりに大型の動物になり、大きな動物は歯もあるし、消化器内で消化される時間も長く、消化力も強いので、フンに種のまま出てこない確率が上がります。

ですから、植物としては、食べられにくくすることで、子孫を残す可能性を高めているのです。もっとも、恐竜は好んで実を丸のみにしていたそうで、逆に恐竜が種を広域に運んでくれたことが、広く反映した理由とも考えられています。

現在も、唯一アライグマだけは、銀杏の実が大好きでよく食べるそうです。餌を洗って食べる器用なアライグマは、実を食べて、種はちゃんと出すのでしょうか。というより、ぎんなんの周りのクサクサ~は洗い落とさず食べる!?ってところが面白いですね。

と、話はそれましたが、要するに、ぎんなんの実の臭さは、何千万年もの長い月日を生き残るために身につけたスペックであり、たかだか数千年の文明しかもっていない人類に都合よくするために、簡単に品種改良されたりはしないってことです。

より臭くしないで食べられるようにするための工夫

触らないで長時間我慢するか、手作業でさっさと済ますか

実の部分が臭くないぎんなんの新種が街路樹に普及するのを待っていると、死ぬまで“拾いもんのタダぎんなんをたらふく食べる”という至高のぜいたくはできそうにありません。どうしても、どこかであの「臭いとの闘い」に挑まないといけないようです。

が、できるだけラクに闘うための方法を、すでにこれまでの歴史の中で、いろいろな人が工夫してくれています。

クサクサ~を避けるポイントは二つあります。

ひとつは、あの実をできるだけ触らないで済ますこと。

もうひとつは、処理する時間をできるだけ短縮化すること。

これの両方をクリアするのは、今はまだ難しいです。そして、どちらかを優先するためには、もう一方の試練がちょっと高まるリスクを伴います。

ぎんなんのクサクサ~は、果肉のぶよぶよの部分に含まれる成分が、熟成する時に発生する臭いです。時間がたつとより臭いは強くなります。臭いのもとの成分は、皮膚を荒らす作用の物質も含まれるため、手で直接触るとかぶれたり腫れたりする人もいます。

  • 触らず放置で臭いが強くなるのが嫌か、
  • 手早く済むけれどいっぱい触るのが嫌か、

まず優先順位と覚悟を決めてください。

あんまり触らず種を取り出したい人用「漬け込みぐるぐる作戦」

手荒れしやすい人や、実のぶよぶよに触るのがどうしても気持ち悪い人は、触らずに、でも2、3日かかる方法で処理するやり方にしましょう。

  1. ぶよぶよの外皮ごとの実をバケツや大きなボウルに入れ、水をたっぷり張って漬け込みましょう。一日たって実が柔らかくなったところで、棒などでぐるぐる激しくかき混ぜます。柔らかい実が崩れて種と分離してきます。
  2. 大きなザルに広げて水を切り、ぶよぶよが荒く取れた種を箸やトングでつまんで拾い、別の入れ物に入れて、それはそれで水を張ります。まだ実がたくさんくっついているものも拾ってもとの容器に入れ、2日目の漬け込みをします。ぶよぶよのカスは、ビニールなどに密封して生ごみとして捨てます。
  3. もう一日置き、まだ果肉が付いていた分は、一日目と同じことをします。種に分離していたほうは、水だけ変えておきましょう。
  4. 3日目になると、ぐるぐるすれば、ほとんどぶよぶよが取れます。
  5. ぶよぶよがだいたい取れた種をまとめて、お米や小豆を研ぐように、ぎんなん同士をこすり合わせるように洗います。ここだけは、ゴム手袋をして、手作業してください。ぶよぶよがあまりないので、臭いと気持ち悪さは随分楽になっているはずです。何度か水を変えて、細かいカスまで綺麗に洗い落しましょう。
  6. 再びザルにあけ広げ、できれば天日に干して乾かします。

放置したくない人用、手作業で取り出す「ザルゴシゴシ作戦」

マンション住まいなどで数日間も臭いを放置できないとか、部屋に臭いがついたら困る人は、頑張って手作業して、さっさと済ましてしまう方法を選んでください。

  1. バケツやボウルと、それに入る金属製の粗目のザルを用意します。ザルを重ねた容器に外皮ごとの実を入れて水を張り30分ほど置きます。
  2. ゴム手袋をした手で、梅干しの種を取るように、実の中のぎんなんを出していきます。この時、一掴みした実をザルの壁に押し当て、ゴシゴシこするように揉むと、中の種が飛び出てきて取り出しやすくなります。ひとつひとつ手でほじくるよりだいぶ時間短縮できます。
  3. 取り出した種をまとめたら、後は漬け込み作戦の5,6,と同じです。

カスまで綺麗に洗った種は、それほどキツく臭いません。マンションのベランダに干しても、お隣の部屋の中まで臭いが行くようなことはありません。

使い終わったザルの目に詰まった果肉を綺麗にするのがちょっと大変ですが、塩素系の漂白剤につけておくと、臭いはだいぶ取れます。毎年やるなら、ぎんなん洗い専用のザルを決めておくといいでしょう。

干したぎんなんは、白くなったら密閉容器やジッパー付きのビニール袋などに入れて、冷蔵庫で保管してください。食べるまでにはペンチで殻を割って、加熱して薄皮も剥かないといけないので、なんだかんだと手間がかかる食材ですが、下ごしらえも含めて、秋を楽しんでください。

まさケロンのひとこと

ぎんなんおいしいけど食べ過ぎには注意!イチョウから生成される神経毒が含まれてるって誰かに聞いた。特にこどもは1日3個までにしておいたほうがいいよ〜。

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筆者情報

すずき大和

調べもの大好き、文章書くことも人に説明することも好きなので、どんな仕事についても、気付くと情報のコーディネイトをする立場の仕事が回ってきました。好奇心とおせっかい心と、元来の細かい所が気になると追求してしまう性格をフルに発揮して、いろいろなジャンルのコラムを書いています。