NASA(米航空宇宙局)の気象学者によると、2016年は「史上最も暑い夏」になるそうです。
日本も、各地梅雨が明けた7月下旬ころから真夏日が続き、そのままずっと残暑の日々を重ねています。お盆がこようが台風が近づこうが、酷暑の収まる気配がみられません。
熱中症で搬送される人の数も、7月半ばころから毎日何十人という勢いが続いていますが、熱中症は適切な予防をすれば、防げる病気です。適切な予防には、適切な知識が必要です。
わかっているようで、わかっていない人が意外と多い熱中症、甘く見ていたために、ついうっかり発祥のリスクをあげている例も少なくありません。
改めて、『熱中症予防の基本の“き”となるポイント』を簡単にまとめてみました。
熱中症のメカニズム
汗と血液循環によって体温調節が行われる
熱中症とは、高温多湿な中にいるうちに、体温の調整機能がうまく働かなくなり、体内に熱がこもることで起きる体調不良状態のことです。具体的な自覚症状は、
- めまい、立ちくらみ
- こむら返り
- 頭痛
- 吐き気
- 意識障害
など、ケースによって軽度なものから命にかかわる深刻な状態までさまざまあります。
からだの中では絶えずエネルギー代謝が行われており、熱が発生しています。内温性動物(恒温動物)は、外気温が体温よりずっと低くなる季節は、その熱でからだを温めることで、冬眠せずに活動し続けることができます。が、夏は、逆に、その熱を効率よく放出し続けないと、からだの機能がオーバーヒートで壊れてしまうのです。
暑い季節、急激にたくさん熱を放出するためには、汗をかきます。その汗が乾燥する時にからだの表面から熱が奪われていきます。からだの中には血液が流れていますが、血流は、からだの芯のほうの熱を表面に運ぶ働きもしています。
脱水症状が熱中症を引き起こす
汗をどんどんかいているのに、水分の補給が追いつかなくなると、からだは水分不足に陥ります。これ以上からだの水分がなくなると、体液が足りなくなってしまう!というレベルになると、
「脱水症状」
といいます。
脱水症状になると、からだは汗をかくのを止めてしまいます。すると、熱放射が十分できなくなり、オーバーヒート=熱中症の症状が表れます。
熱中症を予防するには、この脱水症状を防ぐことが大切です。まめに水分補給することが大事なのはもちろんですが、涼しい屋内にいる時などは、案外自分の水分不足に気付きにくいものです。からだが脱水症状に近づいていることをあらわすサインを見過ごさないようにすることが、とても重要です。
熱中症予防は脱水症状予防に尽きる
脱水症状のサイン
熱中症の症状が軽度なうちは、ただ暑くて集中力が落ちているだけだと思って見過ごしてしまう場合が少なくありません。そうやって水分補給のチャンスを逃しているうちに、突然倒れるような事態にまで症状が急進してしますケースが多いです。
もし、以下のような状態が見られれば、例え頭は暑さにぼーっとしていなくても、からだはすでに脱水症状が始まっていると考えたほうがいいです。
1, 手が冷たくなる
脱水症状になると、生命維持に重要な臓器に血液が集まるため、手足の血行は悪くなります。
「他の人と握手してみて自分のほうが冷たかったら、危険なサイン」です。
2, 舌の表面が乾いてくる
唾液の分泌も節約されるため、「口の中も乾燥」してきます。
3, 皮膚の弾力がなくなっている
「指で押してみて、離した時に凹みがすぐに戻らず、ゆっくり戻るようなら危ない」です。
親指の爪を押してみても、離したときに赤みが戻るのがゆっくりになっています。
4, 高齢者の場合、わきの下が乾燥してくる
普通は空気に触れることが多い部分から先に汗をかきます。が、加齢とともに汗腺は衰え、最後に残るのがわきの下の汗腺です。高齢者はわきの下から汗をかき、「夏はいつも湿っているのが普通」になります。
意識して計画的に水分を摂る
危険サインが出る前に「水分補給」をすることが望ましいです。
体重50kgの大人の場合、毎日2500ccの水分が排泄や汗などで失われます。
一方補給するほうは、
- 代謝の過程で水分が吸収される分が300cc
- 食べ物に含まれる水分が1000cc
- 飲み物として摂る水分が1200cc
で、ちょうど釣り合い、脱水症状になりません。
朝から1日、何か飲むたびに、総量をちゃんと把握して、1200ccを下回らないように心がけましょう。また、朝食を抜くと、食事から摂る水分が350~500ccくらい不足した状態で一日をスタートすることになってしまいますから、注意が必要です。
コンディション管理のための生活の注意も忘れずに
高温多湿の夏を乗り切るには、水分補給だけでなく、体力を無駄に消耗せず、栄養補給も偏らないようにすることが大事です。特に、以下の3点には気を付けましょう。
- バランスのいい食事を規則正しく摂る
- 睡眠を十分に取る
- アルコールも脱水症状を促進するので、お酒はほどほどに
意識して、ちょっとしたことに気を付けて生活することで、熱中症の多くは予防できます。脱水知らずで、元気に活力ある夏を過ごしてください。
睡眠不足だとほんと暑いの厳しくなるから注意だよ~!